Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

「信頼貯金」実践の問題点

最近、「信頼貯金」という実践があることを知りました。

有名な実践らしく、ウェブ上ではいくつも実践記事を見つけることができます。

道徳の授業として行っているケースや、担任の先生がクラス活動として行っているケースなどがあるようですが、いずれにせよ、その内容には問題があるように思います。

一番気になったのは、実践によって差別を助長するのではないか、ということです。

先日Twitterの方で連続ツイートをしたのですが、ブログ内でも改めて問題点をまとめておきます。

 

なお、初出がまだ分かっていないことと、特定の個人を批判したいわけではないので、具体的な引用は避けます。ただ、実践にはおよその「型」があり(おそらく先行実践を見て追試しているからだと思いますが)、以下に挙げる問題点はほとんどの実践に当てはまるだろうと思います。

 

教師による子どもへの差別

一番問題だと思ったのは、導入での教師の説明です。

 

導入の例で登場する教師は、児童/生徒であるAさんとBさんが同じことをしていても(宿題を忘れるなど)、片方の生徒(仮にAさん)には優しく対応し、片方の生徒(Bさん)には厳しく当たっています。

実際の授業者である教師は、この例を挙げながら「これは差別でしょうか?」とクラスの子どもたちに問いかけます。子どもたちからは「差別だ」「いや何かあるはずだ」などの回答を想定しているようです。

そして、その後に、Aさんは普段から良い行動をしている(友達に親切にするなど)、Bさんは普段から悪い行動をしている(友達をたたくなど)、という情報を追加して子どもたちに提示します。

そして、子どもたちから、普段の行いがそうなら先生の態度が変わるのも仕方がない、という意見を引き出します。

その後授業者の教師から、Aさんは普段から良い行いをしているので「信頼貯金」の残高が高く、Bさんは普段から悪いことをしているので「信頼貯金」の残高が低いと説明されます。

例の中で教師の態度が異なるのは「信頼貯金」の額が異なるからだ、というわけです。

 

このように、導入で紹介される例の中で、教師はその子の普段の行いによって態度を変えているのですが、これは子どもに対する差別であり、教師としてはやってはいけないことです。

その子の信頼貯金の額によって教師の態度が変わることを生徒に伝えていますが、それをしてしまっては教育は成り立ちません。

 また、子どもたちにも、相手に責任を求めて態度を変えて良いのだという間違った理解をもたらしてしまうことにもつながります。

 

「良い」「悪い」は誰が決めるのか

冒頭の例を示したあと、相手からそういう態度を取られないように、普段から「良い」ことをして「信頼貯金」を貯めていきましょう、という説明がなされます。

この点も疑問です。

貯金が貯まる「良い」行為と、貯金が減る「悪い」行為は誰が決めるのでしょうか?

実践によっては、××をしたらプラス〇〇円(またはマイナス〇〇円)などと、行為と金額を直接的に結びつけているものもあります。

この金額の多寡はどのように決まるのでしょうか?

良い/悪いだけでなく、「良い」行為に優劣をつけていることにもなります。

 

仮に道徳の授業で「信頼」を取り上げるのであれば、

何が相手の信頼を得る行為/信頼を損ねる行為なのかを子ども主体で考えたり、

仮に相手のことを不信に思ったとしても、相手にどういう事情があるのかを想像してみるように促したり、

お互いがどう歩み寄れるのかをクラスで考えたり、

そういう活動が必要なはずですが、そういう展開にはなっていません。

これでは、教師による価値観の押し付けです。

 

子どもへの悪影響

仮にこういった授業を行った場合、

ある子がクラスメイトに対して冷たい態度をとったとき、それは相手の信頼貯金が少ないせいだと、簡単に相手の責任にしてしまう可能性があります。

子どもがそう主張した場合、教師はどのように返答するのでしょうか(冒頭の例で教師も同じことをしている)。

また一方で、冷たくされた側が、自分の信頼貯金が少ないせいだと思い込んでしまうのも心配です。

「いじめられる側にも責任がある」というのと同じ構造に思えます。

 

研究を曲解して紹介

また、後半の説明で唐突に大阪大学の研究結果が紹介されているものがあります。

もとの情報は以下のリンクだと思いますが、実践記事を読む限り、この研究の一部を曲解(拡大解釈)して、子どもに誤った理解をもたらしているように思います。

www.osaka-u.ac.jp

 

 このHPで紹介されている内容を読む限り、対象となった幼児の行動に変容が見られた、ということは示してはいますが、それはそのまま「人に親切にすれば〇倍になって返ってくる」ということを証明するものではありません。

研究結果の一部を拡大解釈して、子どもに伝えるのは問題があると感じます。

また、仮に研究結果がそうであったとしても「~である」という事実から、直接的に「~すべきだ」という価値を主張するのは飛躍です。

(研究結果を適切に紹介して、子ども自身が「友達に親切にしよう」と思うのは自由ですが)

 

また、前半の信頼貯金の残高によって相手の行動が変わるという話と、後半の、相手に親切にすれば〇倍になって自分に返ってくる、という話のつながりが不明です。

 

もとの話とも異なる

「信頼残高」の話自体は、スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』の中で紹介されているものです。

しかし、もとの本の中では、自分の心の持ちようを変えればコミュニケーションが上手くいって成功につながるよ、という自己啓発の文脈で使われているだけです。

貯金はコミュニケーションの比喩であり、信頼残高を貯めるための心の持ち方や、コミュニケーションの方法は紹介されますが、「友達をたたいたらマイナス〇〇円」などという金額の話は出てきません。

 

問題点を残したまま拡散される怖さ

冒頭でも書いたように、どなたが最初にこの実践を、どういう形で行ったのかはまだ分かっていません。

おそらく、子どもによりインパクトのある伝え方を、ということをねらった結果、教師が子どもの普段の行いによって態度を変える例が付け足されたり、行為と金額を直接的に結びつけて計算させたり、大阪大学の研究結果を引用したりしたのではないかと想像します。

ただ、それらには上記で述べてきたように、多くの問題点があります。

 

この実践が、十分に批判された過去の実践であればまだよいのですが、ブログや実践共有サイトなどに今でも(割と最近の実践として)掲載されていますし、Twitterを通して今現在も「良い実践」として拡散されているように見受けられます。
そのため、一度はっきり批判しておこうと思った次第です。

ご意見いただければ幸いです。

第4回チョークトークカフェ

先日は、4回目のオンライン哲学カフェを開催しました。

道徳模擬授業スペシャルと題して、前半は私の方で模擬授業を行い、後半は授業検討と、テーマに関する哲学対話を全員で行う、という内容でした。

15名ほどの方にご参加いただきました。

 

模擬授業は、以下のようなワークシートを用いて行いました。3月に出る「ラクイチ道徳」に掲載した授業プランです。

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NHK『ココロ部!』「みんなの自由な公園」を元ネタとしつつ、後半では身近なルールについて批判的に考えるワークを取り入れています。

内容項目は「C 遵法精神、公徳心」、

様々な価値観の人の意見をふまえつつ、合意形成をすることの難しさを体感する。

活動を通して、ルールの性質や意義について考えを深め、また自分たちの身の回りのルールについても批判的に考えられるようになる。

というのがねらいです。

 

オンラインでの模擬授業は初めてでしたが、途中のブレイクアウト・セッションも含め、とくに問題なく進行することができました。

 

途中、サッカー部の生徒役でロールプレイをしていた方から、「自分のすでに持っている権利を手放すのに抵抗があった。みんなから文句を言われ、悪者になっているような気がした」という意見がでました。

ワークが、自分の内面を客観的に見ることにつながったのではないかと思います。道徳の授業を通して、生徒にもこのような体験をしてほしいと思っていたので、良かったです。

 

後半では、まず授業を検討を行いました。

とくに、哲学対話の要素を取り入れた道徳の意義についての質問や、ワークを通して生徒が絶望感や、無力感を感じてしまうのではないか、という意見をいただきました。

たしかに、身の回り(とくに学校内の)ルールを振り返って、ここが不満だ、と言ってみたところで、権力関係によって(先生が決めているなど)変革できるとは限りません。

あえて「焚きつける」必要はないのでは、という意見もあるでしょう。

このあたり、道徳の授業が、学校改革に貢献できる部分だと思うのですが…またいずれゆっくり考えてみたいところです。

 

最後に、全員で「学校にルールは必要か?」というテーマで哲学対話を行いました。

これもまた、学校内での権力関係や、ルールとマナーの関係性など(学校では本来マナーの問題であることがルール化されている、などの意見)、いろいろな観点が出され、私自身多くの気づきがありました。

 

次回はどんなテーマでやろうかなぁ。

 

概念ベースの単元と、そうでない単元の見分け方

ここ数年、IBの教育に携わりながら、概念ベースの学習(Concept Based Learning)をどうすれば実行できるのかについて考えてきました。

何をもって「概念ベース」の単元とするのか? それはどのように判断できるのか?

現時点での自分の理解を、以下にまとめてみたいと思います。

 

授業のスタイルを分類してみる

授業のスタイルをいくつかに分類してみます。

(1)知識ベース…古典文法を覚える、英単語を覚える、歴史事象を覚えるなど、知識の暗記を目指した授業スタイル

(2)スキルベース…読む、書く、話す、聞くなど、スキルの習得を目指した授業スタイル

(3)教材ベース…これは国語科特有なのかもしれませんが、教材の内容理解を目指した授業スタイル(「走れメロス」を読む、など)

で、「概念ベース」の場合は、そのすべての要素を含めつつ、さらなる理解を目指す授業スタイルと言えます。

(4)概念ベース…知識、スキル、教材に加え、それ以上の理解を目指す授業スタイル

 

概念ベースの学びで得られるもの

では、それ以上の理解とは何か?概念ベースの学びを通して得られるものも、いろいろ想定できますが、5つ挙げてみます。

①抽象思考・考え方の枠組み

②批判的思考

③他の単元、他教科の学習とのつながり

④他の文脈、実社会とのつながり

⑤学ぶ意義、学ぶ面白さ

以下で、それぞれ説明します。

 

①抽象思考・考え方の枠組み

「概念」とは、抽象的なキーワードのことです(例:コミュニケーション、変化、など)。「ビッグ・アイデア」とも言われます。エリクソンは、ものの見方の「レンズ」の役割を果たすと言っています。

この「概念」を用いることで、生徒に抽象思考を促し、考えるフレームを構築することができます。

「概念」について考えるための問いとしては、

・国や地域によってどのような習慣、考え方の違いがあるか?

・コミュニケーションにおける問題とは何か?

など、教材や具体的トピックを離れた抽象度の高い問いが選ばれます。

(※ちなみに、問いの例は「異文化コミュニケーション」をトピックとした場合の例です。以下同じ)

 

②批判的思考

先ほどの抽象思考を用いることによって、学んだ内容を批判的に考えることができます。

批判的な思考を促す問いとしては、

・なぜ対立やトラブルが起こるのか?

・習慣や価値観の違いをどう乗り越えることができるのか?

など、多角的に考えたり、生徒同士の議論を促すようなものが良いでしょう。

 

③他の単元、他の教科の学習とのつながり

「概念」を授業に導入するメリットに、学びが単元で完結せず、広がっていく、というものがあります。「概念」をハブにして、学びの「転移」を期待するわけです。

例えば教科の学習にしても、これまでに学んだこと、これから学ぶことと、今学んでいることはどうつながるのか、という点について生徒に意識させることができます。

また、抽象度の高いキーワードを用いることで、教科の中だけでなく、他教科とのつながりを作ることもできます。

・価値観の違いは、他の作品やメディアではどのように描かれているか?

・どのような歴史が関係しているか?(国語科と社会科の連携)

このように、生徒が他の文脈について考えるように促す問いかけが有効です。これらをうまく機能させるためには、カリキュラム・マネジメントや教科間の連携が必須です。

 

④他の文脈(コンテクスト)、実社会とのつながり

先ほどの③は学校内の学びの話でしたが、さらに学校外の状況と、今学んでいることを関連させるのにも「概念」は有効です。学んだことを概念的に理解することで、他の状況に応用しやすくなるのです。

・文化や価値観の違いから、実際に生じているトラブルにはどのようなものがあるか?

・どうすればより良い社会になるのか?

など、時事ニュースや、グローバル・イシューを積極的に授業で取り上げるようにしていきます。

 

⑤学ぶ意義、学ぶ面白さ

①の抽象思考、②の批判的思考を通して、生徒は「考えること」そのものの面白さを経験することになります。

また、③や④にあるように、学んだことを、次の学びや行動に生かそうとします。これがまさに「探究」です。

以上のようなプロセスを何度も繰り返すことで、学ぶことや、自分自身の成長を楽しむことにつながり、さらには生涯にわたる学習者(Lifelong Learner)に近づくことになるでしょう。

 

生徒に概念理解を促すために

以上の観点をふまえると、生徒に概念理解を促すためには、単元の中に以下のような内容を組み入れていくことが重要になります。

・抽象思考を促す問いや課題

・批判的思考を促す問いや課題

・これまでの単元で学んだことを生かせる問いや課題

・これから学ぶこととのつながりを示す教師の説明

・他教科で学ぶことととのつながりを示す教師の説明(または学際的単元を行う)

・時事問題、グローバルな問題について考える問いや課題

もちろん、これら一つの単元にこれらすべてを含めることは難しいでしょうが、複数の項目は組み込みたいところです。

 

概念ベースの単元になっているかどうかのチェック

上記に書いた内容をもとにすれば、授業設計の際に、またはふりかえりのときに、その単元が生徒の概念理解を促すものであるのかをチェックすることが可能です。

次のような問いかけを、自分自身の作った単元に当てはめて考えてみてはどうでしょうか。

・どのような問いや課題を工夫して、生徒の抽象思考や批判的思考を伸ばしているか?

・これまで学んだこと、今学んでいること、これから学ぶこと同士の関連や、教材や単元の枠を超えた学びのつながりを、生徒にどう示しているか?

・他教科の学びとの関連や、教科の枠を超えた学びのつながりを、生徒にどう示しているか?

・単元で学ぶことと実社会やグローバルな問題との関連を、生徒にどう示しているか?

・単元を通して生徒がどのように学ぶ意義を感じ、学びのモチベーションを高めると期待できるか?

 

このような観点を常に意識して授業を計画することで、生徒の概念理解を促す「概念ベース」の単元が作れるようになってくると思います。

 

育児生活11カ月目、近況

ブログ更新が滞ってしまったのですが、近況です。

 

ラクイチ授業プラン」シリーズの新刊が出ます

まだ書影も出ていないので、大々的な告知はもう少し後にしますが、

来月下旬に、学事出版から「ラクイチ授業プラン」シリーズの新作が出ます!

 

なんと「中学道徳」「中学数学」2冊同時発売です!

 

正直なところ、ここ一カ月はこの校正作業に追われておりました。。。

ただ、どちらもとても良い仕上がりです。ご期待ください!

 

育児生活11カ月

もう11ヶ月と半分くらいが経ちました。わたしの育休もあと2週間ほどです。

(育休についてはまたどこかでまとめたいです)

 

ちなみにうちの子、現在もつかまり立ちはおろか、ハイハイもできません。

標準でみると、ずいぶん遅いみたいですね。

まぁ、のんびり成長しているのだろうと、こちらもゆっくり見守りたいと思います。

 

それでも、バイバイと手を振り返したり、おもちゃのスイッチを自分で押せるようになったりと、手がずいぶん器用になってきたなぁと、日々成長が実感できます。

 

最近は、腰を浮かせて、ハイハイに向かう一歩手前の姿勢まではできるようになりました。

 

保育園が決まった!

3月からはさすがに無理だったのですが、4月からの入園が決まりました!

駅から近い、第2希望のところだったので良かったです。

 

妻の方もこれで4月からの仕事復帰が確定したわけですが、保育園が決まってうれしい反面、いよいよ離れて生活する時間が長くなり寂しくなっているようです(その点、私の方がドライで、温度差がありました…)。

 

仕事も家庭も、次年度の新生活に向けて少しずつ準備を進めていかないといけませんね。

 

 

MYP4年間のカリキュラムを作った

今日で1月も終わり、育休生活もそろそろ終わりなので、少しずつ仕事復帰の準備などを始めています。

 

MYP4年間のカリキュラムアウトライン完成!

これまでやろうやろうと思っていて、なかなかできていなかった仕事、MYP(中学1年生~高校1年生)の4年間で、だいたいどのような単元を実施するのかのアウトラインを作成しました。

いまの勤務校でIBに関わり始めて5年になります。

勝手が分からないなかで、学びながら作りながらの自転車操業でやってきました。

その分、最初の生徒にはずいぶん迷惑をかけているのですが、職場に戻ったら2週目に入ります。これまでの経験や学んだことを生かしつつ、より良いカリキュラムにしていかなければなりません。

とは思うものの、なかなか伝わりづらいのですが、この作業がまぁ面倒なのですよ。

 

IBの要求する条件が複雑

IBの場合、教材や授業内容についてはものすごく自由度が高いのですが、IBの理念に関わる根幹の部分で様々な条件があります。ざっと挙げてみると…

・「重要概念」(主に4つ)をバランスよく扱う

・「関連概念」(12こ)をバランスよく扱う

・「グローバルな文脈」(6つ)をバランスよく扱う

・評価規準A~Dのそれぞれのストラントを年間で少なくとも2回は扱う

・ATLスキル(10こ)をバランスよく扱う

・学習者像(10こ)をバランスよく扱う

・様々なパフォーマンス課題を用意する

・文学作品と非文学作品をバランスよく取り上げる

(細かいものは他にもあります…)

 

IBの専門用語が多くて意味が分からないと思いますが、面倒だと言うことだけ感じ取っていただければうれしいです。

こういういろんな条件を、1年間の中で、また4年間のなかでクリアしていかなければならないのです。

 

概念ベースのカリキュラムの土台

ただ、こういう地道な編集みたいな作業は、自分の好きな分野でものあるので、そういう意味では楽しかったですね。

きれいにカリキュラムの中にはまったときの達成感!

 

そして、このカリキュラムはいわゆる「教材ベース(教科書ベース)」ではなく、「概念ベース」のカリキュラムだということです。

どのタイミングで、どのような概念を扱い、生徒にどんなことを理解してほしいか、などを言語化しています。

メインで使いたい教材などはおおよそ決めていますが、他に使いたい教材や、詳細な学習過程はこの後さらにつめていきます。

これを一度作っておいて国語科全体で共有しておくと、後は担当者が好きな教材を選んで授業したり(概念理解が目標なので、いろんな教材で実践することができる)、パフォーマンス課題を入れ替えたりすることが可能です。

来年度以降は、これをベースにすれば授業づくりがずいぶん進展する予感。楽しみです。

 

(別の話題)保育園は保留

急に話を変えますが、1月に役所から通知が来て、入園は保留になりました。まぁ3月入園はほぼ無理と最初から言われていたので、夫婦でやっぱりね、という気持ちです。

これを受けて、私は予定どおり3月から復帰しますが、妻の方が育休延長することにしました。新学期スタートに合わせて、4月から入れるよう決まってほしいです!

(ちなみに、決まり次第連絡が来る、というシステムなのですが、これはやりにくいですね。職場からは来年の配置を決めたいから、(時短するかどうかなど)早めに情報を教えてほしいと言われるのですが、市から通知が来ない限り何も動けないので、ずるずる職場にすみませんと言い続けるしかないという…)

 

第3回チョークトークカフェ

先日、今年最初のチョークトークカフェ(教育をめぐる哲学カフェ)を開催しました。

「はじめての哲学カフェ」というテーマ設定で、話す内容は集まってその場で決めるというやり方をとり、7名の方にご参加いただきました。

 

当日出た問いの中から主に、

「学ぶことってなぜ大切なのか?」

「20年前と比べて学校はどう変わったか、これから20年で学校はどう変わるのか」

「共通テストについて」

といった問いについて対話を行いました。

 

少人数なだけあって、一人一人がゆっくり話すことができ、充実した対話になったかと思います。

 

学びの価値をどう子どもに伝えるか、という話の中で、

年齢に応じた内発的動機付けや外発的動機付けのバランスの問題、

子どもがまだ自分の問題だと思っていないうちから学びを強制されることの弊害、

「学ぶ」とはどういうことかを高校生のうちから掴んでいる子と、掴みそこなっている子のギャップ、それをどう埋めるか、

結局学校や社会が学びを制限しているのではないか、

など興味深い話題がいくつも挙がって、私自身大いに刺激をうけました。

 

終わってからの振り返りでは初めて参加された方から、

普段の職場では目の前の仕事やテストの話ばかりで、こういう「そもそも」の話をする機会がなかったので、楽しかった、

考えがいのある問題について考えることができ、栄養補給になった、

といった感想をいただくことができました。

 

私の身の回りを振り返っても、どういう学校にしていきたいか、そもそもどういう教育を目指しているのか、などの議論を身近な同僚とする機会がほとんどありません。

そういう場がもっと増えればいいなと思い、この哲学カフェを始めたということもあったので、この感想はとてもうれしかったです。

 

今後も、月1回または隔月のペースで企画していこうと思います。

気になる方は、ぜひツイッター(@ChalkTalkCafe)をフォローしてください!

 

 

道徳の授業で使えるオススメ絵本

子どもが生まれてから絵本をいろいろ見るようになったのですが、あらためて読むとめちゃくちゃ面白いですね。

そして時に、思わず考え込んでしまうような、読み終わってからもいろんな問いが浮かんでくるような素晴らしい絵本に出会うことがあります。

 

今回の記事では、道徳の授業や哲学対話で使ってみたい絵本をいくつか紹介します!

 

おーなり由子『ことばのかたち』(講談社、2013年)

ことばのかたち

ことばのかたち

 

 

「もしも 話すことばが 目に見えたら どんなかたちをしているだろう」という問いかけから始まるこの絵本。やわらかく鮮やかな絵が印象的です。

「大きくて やわらかい花は どんなことば?」など、言葉についていろいろ考えてみたくなる問いがたくさん投げかけられます。

「ふわふわ言葉、ちくちく言葉」という道徳の授業がありますが、それよりさらに具体的で、中学生にもオススメです。

 

 

二見正直『もっとおおきなたいほうを』(福音館書店、2009年)

もっとおおきな たいほうを (こどものとも絵本)

もっとおおきな たいほうを (こどものとも絵本)

  • 作者:二見 正直
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: ハードカバー
 

 

自慢の大砲を撃ちたくて仕方がない王様。あるとき川で魚をとっていたキツネを、その大砲で追い払います。しかし今度はキツネがもっと大きな大砲を持ってきて…

と、王様とキツネの大砲比べ。

全体的にギャグ調で、笑いながら読むことができますが、なぜ人は争ってしまうのだろう、という重大な問題を含んでいます。

絵本を読んだ後に、そこから一般的な問いを作るようにするといろんな考えが出てきそう。

 

 べーレフェルト『一わだけはんたいにあるいたら……』(偕成社1984年)

 もう絶版になっているようなのですが、とても素晴らしい絵本なので、図書館などでぜひ見てほしいです。

ある島では「あるきどり」の群れが生活しています。「あるきどり」たちは、みんな一斉に同じ方向に歩いて暮しています。そのとき、一羽のあるきどりが、急に反対方向に歩き出しました。「やめろ!」「同じ方向に歩くんだ!」と他のあるきどりたちは猛反発。さて、あるきどりたちはどうなったのか…

この短い物語の中に、集団生活のルールに従った生活、その中で自分の信念を貫き通す難しさ、など大事なテーマがたくさんこめられています。

これを読むと、子どもたちも今の生活を相対化したり、勇気をもって行動したりすることができるのではないかと思いました。

このヘタウマの絵も私好みです。再版してほしい!

 

 荒井良二『きょうはそらにまるいつき』(2016年、偕成社

きょうはそらにまるいつき

きょうはそらにまるいつき

  • 作者:荒井 良二
  • 発売日: 2016/09/09
  • メディア: 単行本
 

荒井良二さんは素敵な絵本がたくさんありますが、最近読んだこの本もとても良かったです。

夜の街で、乳母車の赤ちゃん、楽器を練習している人、夕食後のおじいさんおばあさん、いろんな人が空を見上げたり、見上げなかったり…ページごとに繰り返される「きょうはそらにまるいつき」のフレーズがとても心地いい。

内容項目「自然との関わり」でどういう授業をしようか困っていたら、この本はオススメです。きっと空を見上げてみたくなりますよ。

 

 中山千夏・ぶん 和田誠・絵『どんなかんじかなあ』(自由国民社、2005年)

どんなかんじかなあ

どんなかんじかなあ

  • 作者:中山千夏
  • 発売日: 2005/07/01
  • メディア: 大型本
 

最後に紹介するのは『どんなかんじかなあ』です。

この本についていろいろ語りたいのですが…あまり私がここで解説してしまうと、この本の魅力が薄れてしまってもったいない。気になった方はぜひ直接手に取ってみてください。心に残る一冊になると思います。

 

オススメの絵本はまだまだたくさんあるので、そのうち第2段を書きます!