Senobi

RWとWWとIBとP4C

方向性の違い

今年度、高校2年生の現代文と、DP「言語と文学」のクラスの両方を受け持っています。
それで、2つのコースの目指すところが全然違うのです。

現代文のクラスでは、教科書を使っての読解問題や、来年度の大学入試に向けた勉強をしていきます。
どうしても授業は講義や説明中心になり、また生徒も受け身になってきます。

一方のDPコースでは、最終試験に向けて、論述や口述の練習をしていかなければなりません。

どうもこの2つのコースの性格が違いすぎて、自分の中で切り替えが難しかったり、バランスが取れなかったり、いろいろと混乱しています。

昨年度は、高校1年の国語総合と、MYP「言語と文学」でした。
これはまだやりやすかったんですよね。
MYPは外部試験がなく、比較的やりたいこと、自由度の高い探究授業ができました。
また、そのエッセンスをIB以外のクラスでも取り入れて、授業を設計することができていました。

しかし、高校2年ともなると、校内でどうしたいかではなく、学びの基準が校外に移ります(大学入試、DPの最終試験)。

どうも話を聞いていると、他の教科では両者にそれほどの方向性の違いはなさそうなのですが、
国語に関しては求められていることに大きな隔たりがあります。
理想を言えば、どちらの試験であっても対応できる実力を身につけさせることが求められているのでしょうが、
現実には、試験に合わせてそこで求めらる力を集中的に練習して伸ばす、というのが実情です。

どちらかに専念して、生徒を最大限伸ばしてあげたいと思うのですが、
両方担当することで、両方のコースで力が削がれている気がしてなりません。

全国大学国語教育学会

先日茨城大で学会が開かれ、国際バカロレア公開講座に参加してきました。

聴講というよりは、先日出した本の宣伝と販売のお手伝いが私の主な役割です。


どれくらい来てくださるのか心配でしたが、始まってみれば50人を超える規模で、関心の高さがあるうかがえました。


最初は国際バカロレアと概念ベースの授業づくりについての概説です。


先日の川崎の同好会の時も感じたのですが、この理論的な部分が、大事ではあるのですがなかなか話が伝わりづらい…。

しかも必要な項目が多数ある。

ここの面白さをどう広めていくかが、今後の課題なんだろうと思っています。


まずは具体的な授業実践例から入り、どういう思考過程を経てその単元を計画したかを説明する、というやり方の方がいいのかなあ…。


続いて評価の話、実践事例紹介、質疑応答と続きました。


参加者の方からいただいた質問を紹介しておきます。


「重要概念」として16の言葉が挙げられているが、なぜそれが選ばれているか、なぜその並びなのか。


これは先日の川崎でも出た質問ですが、

世の中に無数にある「重要概念(抽象度の高い概念的キーワード)」から、複数の教科、複数の学年でまたがって使えるものをIBの側でピックアップしています。

並びは、英語のABC順です(訳すと分からなくなる)。

IBの要件として、特に各教科によって重要な4つの重要概念は、1年間のカリキュラムの中でも「用いる」ように指定されていますが、

その概念を「教え」なければならない、というわけでも、それ以外の概念を使ってはいけない、というわけでもありません。


この辺り、「概念」は単元の設計の段階で教師の発送を広げたり、実際の学習活動の中で生徒の学びを深めたりするのに有効な「ツール」だと私はとらえています。


まだまだ自分の中でも整理できていませんが。


その他、面白かった質問としては、IBのカリキュラムで大事なものは何か、IBによって生徒はどう変わるのか、それを、IB用語を使わずに説明してほしい、というリクエストをいただきました。


私は、課題を通して、協力して「何とかする」力が身につくこと、そして遊びと学びの境界があいまいになっていくことを、魅力として説明しました。

伝わったかなー。



川崎の国語同好会に参加しました

先日は川崎の国語同好会に参加してきました。

テーマは「国際バカロレアの授業づくり」ということで、先日発売した本の内容についての発表がありました。(私は発表を聞いている側)


本を作っているときから、IB以外の国語科の先生方にも読んでほしい、との思いがあり、できるだけ噛み砕いて説明することを意識してきました。

けれど改めて(客観的に)発表を聞いていると、やっぱり難しいという印象が先に来てしまいました。


重要概念、関連概念、グローバルな文脈、ATL…立て続けにどんどん言われても、なかなか頭に入ってきません。


私は勤務校では、仕事としてやらなければならないという義務感もあり、3年くらいかけて、実践しながらゆっくり納得してきました。

果たしてIB校でない先生方に、その良さをどのようにお伝えするのが有効か


今回の発表では、また昨日のワークショップでも、テキストを決めて、そのテキストと概念を結びつける、という方法がとられていました。

「概念ベース」を体験するのに、IB校以外の先生方にとっても無理のない方法なのかなと思います。

この方向性で、もっと効果的なやり方はないのか、校内研修もあるので検討してみたいと思いました。


ある参加者の先生から、

教科書教材を読んで作文を書かせたいときに、この概念のリストを渡し、生徒に作文の内容を検討させるのはどうか、というアイデアが出ました。


日本の中学校での応用として、とても良いと思いました。

このように、みんなで「いいとこ取り」していくと、国語のアプローチも広がって楽しいのではないでしょうか。



IBでの単元の作り方

国語の授業で「単元を作る」というと、教科書に掲載された教材をもとにして、テキストベースで考えるのが一般的です。


1年間で考えてみると、時々は教科書を離れた単元を組むこともあるでしょうが、概ね教科書の目次に沿って単元設計をしていく先生が多いのではないでしょうか。


IBのカリキュラムでは、授業は概念ベースであることが求められています。テキスト内容を教えて終わり、とはなりません。そもそも教科書がありません。


そこでMYP(中等教育プログラム)では、扱う概念や、概念的な「探究テーマ」を設定し、そこから授業内容の検討、扱う教材の選定を行なっていきます。


さて、今回のワークショップではDP(ディプロマ・プログラム)が、これまでより概念ベースになったことが示されました。

ワークショップ内で検討されたDPの単元の作り方は、IB以外の授業設計にも十分応用可能だと思いますので、紹介します。


今回ワークショップで取り上げられた単元の作り方は、次の3つです。


①概念をもとにつくる

②グローバルな問題をもとにつくる

③テキストをもとにつくる


それぞれ見ていきましょう。


①概念をもとにつくる


IBの授業では、コース内で扱うべき抽象度の高い概念が示されています。

重要とされているのは、次の7つの概念です。

アイデンティティ

・文化

・創造性

・コミュニケーション

・観点

・変換

・表現


教師は、まず生徒の状況をふまえて、扱いたい概念を決め、それにふさわしいテキストを選択していきます。


一番「概念ベース」の作り方なのですが、スタートが抽象的すぎてなかなかテキストを探しにくいのが難点です。


②グローバルな問題をもとにつくる


ここでいうグローバルな問題とは、ジェンダー、民族、戦争、環境問題、といった今まさに世界で問題となっているようなことです。

教師は、生徒と共に考えたい問題を選び、それにふさわしいテキストを選択します。


③テキストをもとにつくる


今回のワークショップでは、「間テキスト相互作用」という用語が頻出しました。

テキストをもとにするといっても、1つのテキストだけを取り上げて単元を終わりにするのではなく、

そのテキストにどういった「非文学テキスト(写真、映像、ウェブなど)」を組み合わせ、生徒とどういう探究をするか、検討します。


①〜③いずれにしても、教師の側で沢山の引き出しを持っていることが求められます。


一人ではアイデアが偏るので、教科内外の先生たちと、情報交換を積極的にしていくことが大事です。

こういうことを一人で考えていても、あんまり面白くないんですよね…。

そのために、教員間でのコミュニケーションや、気楽に自由に意見交換できる教科会の実施が不可欠です。



Language & Literature 新カリキュラム

週末3日間、神戸でIBワークショップに参加してきました。

 

膨大なインプットと、それに負けない参加者のみなさんの熱意により、

大変充実した3日間を過ごすことができました。

 

さて、DPのLanguage & Literature(言語と文学)は、この夏から新カリキュラムに移行します。(勤務校では来年度生から実施)

IBのカリキュラムは、およそ7年ごとに改定があります。

新しい教育研究の成果や、世の中の情勢の変化に合わせ、IBの教育課程もどんどん変化していきます。

日本の学習指導要領がおよそ10年ごとに変わるのと比べると、IBの方が変化が速いと言えます。

私の勤務校は最近IBを始めたばかりなので、私にとっては初の改定ですが、ワークショップでご一緒した長年IBを教えていらっしゃる先生は、「慣れてきた頃にはもう改定なのよ」とこぼしておられました。

 

さて今回の改定では、およそ次のようなところが大きな変更点です。

 

・2021年入試から新カリキュラム

・テキストベース、トピックベースの要素が強かったが、より概念ベースになった

・最終試験の内容が変わった

・「非文学テクスト」の扱いがより大きくなった

・実社会とのつながり、グローバルな問題との関わりが強調

された

ポートフォリオの作成が必須になった

 

IBでは、小説や詩歌などの文学教材だけでなく、「非文学テキスト」(絵画、写真、新聞、映画、マンガ、ブログ、広告…)を多く取り上げます。

それらの扱いがとても重要視されています。

 

今回の改定をもとにして、また教科内でコースアウトラインを検討します。

(現行カリキュラムでのコースアウトラインをせっかく作ったのに…)という思いはありますが、教師も常に学び続けるというのがIBの基本姿勢ですので、

また考え始めることにします!

 

生徒に、どんなテキストで探究したいか聞いてみるところから始めようかな。

 

 

 

Job Alikeに初参加

4月、5月は何かと忙しく、ブログの投稿がすっかり滞ってしまいました。


今年度、勤務校ではあたらしくMYPを担当する先生が多数いまして、

校内で、また教科内めIBについて、概念ベースの授業づくりについて学びあっています

新任の先生にIBをどう伝えていくか、校内研修のやり方についても、またいずれ書いてみたいと思っています。


さて、先日から神戸に来ています。


週末3日間、IBO(国際バカロレア機構)のオフィシャルワークショップに参加するためです。


それに先立って、同じ会場でJob Alikeも開催され、そちらに初めて参加することができました。


Job Alikeとは、IBで教えている先生たちの集まりです。

同じ教科の先生同士で集まって、情報の共有や授業アイデアのシェアを目的にしています。


今回私が参加したのは、言語A Japanese Language & Literatureのグループで、

国内外のインターナショナルスクールの先生や、一条校でIBに取り組んでいる先生方とお会いすることができました。


理論的な勉強も良いのですが、具体的な実践の共有はやはり楽しいですね。

DPの授業をどうしていくか、悩んでいたところだったので、いろんなヒントをいただくことができました。

また、私のやっている概念ベース授業づくり研究会も、要は同じことがやりたいんだなと再確認できました。


参加者のお一人から、ブログ読んでますよ、と言っていただき、

細々と書いていた記事が少しは役に立ったのかなと、うれしく思いました。




IB本が完成しました!

二年がかりで取り組んできた、IB・MYP「言語と文学」について解説した本がようやく完成し、本日私の家に届いていました。


『「探究」と「概念」で学びが変わる!  中学校国語科  国際バカロレアの授業づくり』

というタイトルで、明治図書出版から出ます。


IBのカリキュラムについては、公式ガイドブック(その日本語訳)を読んでもなかなか理解するのは難しく、また専門のワークショップの機会も限られています。

実際、どうやってIBの授業を組んで良いか分からない、そういう先生の役に立つだろうと思います。


また、この本は、IB校の先生にだけ向けて書いたものではありません。

多くの中学校(または高校)で使える、これからの授業づくりヒントがたくさん詰まっていると思います。


アマゾンでも予約が始まっています。

お手元に届くまでにはもう少しかかりますが、ご期待ください!


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