Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

なぜリーディング・ワークショップを始めようと思ったか

国際バカロレア(IB)のプログラムに取り組み始めて4年目になります。

だんだんと、これまでの授業設計とは異なる発想で、単元を計画できるようになってきました。

同時に、今の生徒の様子であったり、これまでやってきたことをふりかえってみると、まだまだ課題が多いように思います。

一番の改善点は、分析や論評の課題に偏りすぎていたことです。

そうなるのも当然で、私はDP(ディプロマ・プログラム)の内容や、最終試験を念頭に置いて授業を設計していました。DPのカリキュラムでは、事前に決めたテキストについての詳細な分析や、批判的な読解、論述が求められます。

DPの授業についていけるように、最終試験で良い成績がとれるように、とMYP(中学生)の早い段階で、生徒の興味や学習レベルに合わないようなことをやらせすぎていたのかもしれません。

もともとIBに魅力を感じたのは、生涯にわたる学習者を育てる、という理念に共感したからでした。

しかし今の私の授業は、私が一方的にテキストを選び、私が評価のための課題を設定しているだけです。生徒が自ら読む本を選び、読み進め、自ら課題を作る、そのような動きを促せていません。

また、分析と論述に時間をかけすぎて、そもそもの読書時間が不足しています。

もっと生徒の語彙力や表現力を伸ばしたい。読書を通じて自分の世界を広げてほしい。

そのためには、授業の方法やカリキュラム全体をさらに変えていく必要があると感じました。

そのような問題意識から、前から気になっていたリーディング・ワークショップを取り入れることにしました。

テキストを精読し、詳細に分析するのも良いのですが、その前にまずは多読が大切です。

私の学校は私立の中高一貫校なので、高校受験がありません。その環境も活かしつつ、とくに中学生のうちにはどんどん読ませたい。

その読書経験を土台として、高校課程になったら精読や批判的な分析を行えるようにしていく。

こういったことは、前任校でも教科会で「こういうふうにしたいよね」と話し合ってきたことです。でも、学校のカリキュラムに位置づけ、実践することはできていませんでした。

今回は、それを改めて行う挑戦でもあります。

幸い、一緒にIBに取り組んでいる3人若手の先生もすぐに「やってみたい」と同意してくれました。

チームで取り組むことができそうです。