Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

IBを導入するメリット

国際バカロレアは、そのプログラムの中で概念ベース、探究ベース、スキルベースの授業を展開するように規定しています。これらは、新学習指導要領が目指している方向性とも共通しています。

国内の一条校でIBを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか、

 

(1)学校組織全体を変えることができる

新学習指導要領で示される前から、またIBとは何も関係なく、生徒に主体の学びに取り組まれている先生方は大勢いらっしゃいます。また、「自主」や「探究心」を学校目標や教育理念に掲げている学校も多いと思います。でも、それを実際の授業と結びつけて、全校規模で行えている学校はどれほどあるのでしょうか。

また、新学習指導要領になるからと言って、急に探究的な授業がどこの学校でもできるようになるわけではありません。そのためのノウハウもなかなか共有されていません、

IB校になるということは、それらを学校規模で、全教職員が行うということです。

IBの認定校になるためには、概念学習や、探究ベースの授業を作るための校内研修が必須です。また、教科リーダーは外部のワークショップに参加することが義務付けられています。教科会や、他教科とのミーティングの機会も規定されています。

こういった「外」からの強制力もあって、学校の仕組みや授業に対する教員の意識をダイナミックに変えることが可能です。

 

(2)ガイドブックを活用する

IBには、世界各地で行われている授業の蓄積と、最新の教育知見をもとにして作られたガイドブック、その他様々な資料があります。IB校になることで、それらのリソースを活用することが可能です。

そこには、授業内での概念の用い方、探究のための問いの立て方、生徒に身につけさせたいスキルのリストなど、実践で使える様々な情報が掲載されています。

それらを活用することで、いわば「普通の」先生でも、概念ベース、探究ベース、スキルベースの授業が行えるようになるのです。

 

(3)教師自身が学習者になる

IBのプログラムに参加すると、これまで自分が受けてきた教育、教えてきた指導法とのあまりのギャップに困惑することになります。

しかし、何度かワークショップに参加し、ガイドブックを参照しながら実際の授業で試行錯誤していると、なんとか慣れてくるものです。また私の場合は、これまでの教育のあり方が相対化され、より多角的に教育や授業のあり方について考えられるようになりました。

外部のワークショップなどを通じて、他校の同じ目的を持った先生方と知り合えるのも大きな楽しみです。

 

他にもいろいろ考えられますが、IBを導入するメリットについて、3点まとめてみました。

もちろん、上手くいく話ばかりではなく、IBを導入する難しさや、デメリットもあります。そちらはまたの機会に。