Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

探究疲れにさせないために

そもそも日本の学校の仕組みは、生徒が受け身で授業を受ける前提で設計されているので、探究に向いていないと思う。

1日6時間近くがちがちに時間割が組まれていて、放課後は部活。ホームルームや行事などやることが多く、夏休みや冬休みは短い。

(ちなみに私の学校は土曜日も授業があり、夏期講習や冬期講習もやっている)

1日受け身で過ごすから、なんとかやっていけるのだ。毎時間探究して、どの教科でも主体的に問題解決に取り組む、なんてことはできるはずがない。

 

生徒に主体的に探究に取り組んでほしいと思うのであれば、

①授業や行事の時間を減らし、生徒が暇になるようにする

②遊びや創作などの探究を取り入れる

この2つが大切だと思う。

 

しかし、①について、これを学校でやるのはかなり難しい。

ただでさえ教科書の内容が終わらないのに、授業時間を減らすなんてとんでもない!

生徒を暇にさせたらスマホかゲームで無駄な時間を過ごしてしまう。しっかり課題を出さないと!

すぐにこんな声が上がるからだ。

確かに、宿題がなければ何も勉強しない生徒はいるが、その一方で、何も課題がなければ好きに自分で興味のある分野を探究する生徒もいる。

その芽をつぶしておいて、生徒に主体的に探究させよう!という矛盾を、解消していきたい。

 

②について、

探究というと学問的に真面目なテーマが選ばれがちである。実社会と関係する学びを、と考えるものだからなおさらである。

結果、生徒が取り組む各教科での探究活動は、重いテーマで悩ましい問題ばかりが並ぶ…ということにもなりかねない。

「えー、また差別についてやるんですか。英語でも社会でもやりましたよ」

これは実際に生徒が言ったせりふ。

学年にもよるが、最初は遊びや創作を中心に、自分で計画して行動に移していく練習をくりかえす。

まずは自分の興味関心にそったテーマに取り組む。

そして、それをゆっくりと社会的な関心へと結びつけていく。

これもバランスが難しいが、

探究をやりすぎることによって生徒が勉強嫌いになる、

そんな本末転倒は避けたい。