Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

落ち着かないときは掃除と哲学対話

高校1年生は、文理選択、三者面談の時期である。

同時に、進路について考え、悩む時期でもある。

担任をしているクラスでも、大学選びや進路について相談されることが増え、またいろいろと思い悩んで不安定になる生徒も出始めた。

空気がよどんできて、授業も停滞しがちになる。

 

そういうときには、ホームルーム教室の掃除をすることにしている。

気持ちに余裕がなくなってくると、教室も乱雑になりがちだ。生徒にやらせるというよりは、担任が一人で整理整頓を始める(それを見て何人か手伝ってくれる)。

ゴミを捨て、書棚を整理し、掲示物を張り替え、何となく置きっぱなしになっていた物を片付ける。

教室内がすっきりすると、風通しがよくなり、生徒の心も少し落ち着く(ような気がする)。

 

そして、授業内では夢や進路をテーマにして哲学対話を行った。

生徒から出た問いとしては、

・どういうことを考えて自分の進路を選んでいるか

・自分のなりたいものを優先するか、成績などの実力を優先するか

・大学を卒業した人は本当に良い人材か

・本当にみんな大学に行きたいのか

・そもそも大学に行く必要はあるか

・得意科目はどうしたら見つけられるか

・なぜ先生は偏差値の高い大学を勧めてくるのか

・みんなの夢が知りたい

などがある。

投票の結果、最後の「みんなの夢が知りたい」になった。

生徒たちは、思い悩んでいる割には、友達同士でそういう話をしないらしい。

 

まだ夢がない、と自信なさげに話す生徒や、みんなの前では言いたくない、とパスする生徒(もちろん、話さないという参加もあり)、はっきりとした夢や目標を堂々と語る生徒、いろいろだった。

一通り話が回った後は、私の方で考えを広げるための問いとして、

・夢と目標は同じ? 違う?

・夢って職業のこと?

・夢ってもたなきゃいけないもの? (夢がないとなぜ引け目を感じるのか)

などを生徒に投げかけた。

「夢ってもたなきゃいけないもの?」というのは、よく朝礼で学年主任や進路主任の先生が、「夢をもって文理選択をしましょう」「志が必要です」という話をしているのだが、それに対するカウンターのつもりである。

こういう、学校としての公式メッセージとは異なる意見を、授業の中で生徒に投げかけられるので、哲学対話は良い。

対話の最後の方である生徒から、夢や目標のためにどこまでやりたいことをがまんしなければならないのか、という問いが出され、みんなでうーんと考え込んだところで授業終わりのチャイムが鳴った。