生徒の不満をどれくらい聞くか
担当している中学一年生(IBコース)の生徒からいろいろと不満を聞く。
「課題が多い」「複数の課題が同時に出て終わらない」「寝る時間がなくなる」といった内容だ。
そういった時は、授業を止めて「どういうこと?」「どんな様子?」と詳しく話を聞くことにしている。
たしかに、IBコースでは課題の量が多い(と感じる)。
「と感じる」と断定しなかったのは、この「多い」という感覚が人によって異なるからだ。
教師の側でタイプ別にみてみると、
【教師A】中学生のうちからそんなにがつがつ勉強しなくてもいいだろう、もっと遊んだり自由な時間を持つことが大切だと考える。(私はこの立場)
【教師B】課題の量は適切で、現にきちんと出来ている生徒がいる。出来ていないのは自己管理能力が低い生徒の側に問題があると考える。
【教師C】生徒たちは家でゲームやスマホで遊んで無駄な時間を過ごしている、もっと勉強させなければならないと思っている。
こんなふうに意見が合わない。
また、生徒のタイプも見てみると、
【生徒①】真面目で、自己管理能力が高い(または効率が良い)→きちんと課題に取り組める
【生徒②】真面目だが、自己管理能力が低い(または効率が悪い)→課題に上手く取り組めないが、真面目なので睡眠時間を削ったり無理してしまう
【生徒③】やる気がなく不真面目。効率が良ければ、それなりのレベルでこなすことはできる。効率が悪いと課題に取り組めない。
と大別できる。
【教師B】は【生徒①】を想定することで、自分の課題の量やレベルを正当化する。
また【教師C】は【生徒③】を想定して、課題に取り組めないことは生徒の問題とする。
見落とされがちなのは【生徒②】のタイプである。
睡眠時間や、自由時間を削ってなんとか課題を終わらせるので、上手く取り組めていないことが教師に伝わりづらい。
また、真面目なので手を抜くことを知らない。ストレスを抱えている可能性がある。
健康被害が大きくなる前に、私はこのような生徒をサポートしたい。
このような生徒をフォローするためには、課題の量そのものを減らすか、自己管理スキルを高めるような手助けをしなければならない。
ちなみに【生徒②】のために課題の量を減らそうという提案は【生徒①】や【生徒③】と混同され、理解を得にくい。
改善するためには、生徒の実態を調査する必要がある。
しかし【生徒②】のタイプはクラスでも少数であり、なかなかその声が表に出てこない。
課題のことや、不満をクラス全体に聞くと「多い」「終わらない」という声は当然【生徒③】からも上がるため、先生たちから「甘えている」「自分の責任を棚に上げている」などと評価されてしまう。
本当に切実な生徒の声をすくい上げることができない。
また、こうして生徒の不満を聞く行為自体が、「生徒を甘やかしている」「不満の声を拡散している」「担任の学級運営を邪魔している」といった批判もつながる。
たしかに、一教科担当者としての役割を超えている気もする。
どうしたら良いか分からない。