Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

第1回概念ベース授業づくり研究会

先日、1回目の概念ベース授業づくり研究会を開催しました。

5校、7名の先生方にご参加いただき、初回にも関わらず、熱のこもった話し合いになりました。

 

(1)概念とは何か

 

やはり最初は、「概念」とは何か、という話題から始まりました。

実際にMYPで授業をやっていても、これは概念ベースと言えるのか、いつも疑問に思いながらやっています。

たとえば、概念とテーマはどう違うのか。「愛」「友情」をキーワードに授業を展開させたら概念ベースの授業と言えるか。

一般的な用語としての概念と、IBのいう「概念(重要概念、関連概念)」では言葉の示す意味が異なり、それがまた難しくしています。

 

(2)授業の作り方の違い

 

比較するためにざっくりと分けましたが、テキスト(教科書教材)ベースの授業と、概念ベースの授業はどう違うのか、という話題が出ました。

 

たとえば「走れメロス」とシラーの詩を比較するという授業はよくされていますが、

〈テキストベース〉

「『走れメロス』を読む」ということが授業の主目的。シラーの詩は理解を深めるためのおまけ。

物語の内容理解に学習が集中する。

〈概念ベース〉

2つのテキストを比較して「詩とは何か」「小説とは何か」「ジャンルによって書かれ方はどう異なるか」といった問いについて考えさせるのが目的。(「ジャンル」という概念を用いた場合の一例です)

内容理解だけでなく、書かれ方や読まれ方、他のテキストとの比較にまで及ぶ。

こういう違いなのではなかろうか、という話が分かりやすく思いました。

 

そう考えると、先ほどの「友情」というキーワードをどう扱うか、という点についても、

走れメロス」を使って「友情の大切さ」を教える、というのは概念ベースの授業と言いづらく、

走れメロス」や別のテキストで友情はどのように「書かれているか」、という問いが主であれば概念ベースといえるのではないでしょうか。

 

(3)概念理解をどのように評価するか

 

会の中で私は、中学生の授業実践を紹介しました。宮沢賢治をモチーフにした創作活動です。

IBでは評価規準のなかに「創作」があるので、はっきり点数化して評価しています。その意味では分かりやすいのですが、

果たしてそれだけでいいのか、概念理解、探究テーマの理解をどう評価すべきか、といった疑問が出されました。

この点に関してはまだ手付かずで、どのような先行実践や研究があるのかも分かっていません。

ただ、重要概念などのキーワードを生徒に提示して(今回で言えば「創造性」)、そのことについて振り返りの記述をさせるのは有効ではないか、という意見をいただきました。

振り返りの重要性については再三言われているのですが、十分な時間が取れていないのが現状です。

 

とまあ、このように分からないことだらけなのですが、

「概念ベース」で授業を発想すると、考えがどんどん拡散して授業づくりが楽しくなる、

この点をみんなで共有できました。

 

次回は2月23日(土)の予定です!