Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

紙芝居を比較する

中学一年生で古典の単元が始まりました。

テキストは「竹取物語」です。

 

これまでやってきたやり方は、はじめに歴史的仮名遣いのルールを教え、冒頭文を音読、暗唱できるようにし、その他の場面の読解…

という(オーソドックスな?)展開が中心でした。

 

今年は、IBの単元づくりを学んだこともあり、何か違った展開ができないかと考え、紙芝居の比較から始めることにしました。

 

図書館で、二種類の「かぐやひめ」を借りてきて、生徒に読み聞かせをします。

そして、二つを比べて、どういう点が異なるのか、また自分が知っている「かぐやひめ」と異なる内容がないか、まとめます。

とくに、終わり方の違いに注目させました。

 

今回使った紙芝居は、一つは帝が登場せず、おじいさんとおばあさんがかぐやひめを見送る場面で終わります。かぐやひめも地上の記憶を失くしておらず、何度も何度もふりかえります。

 

もう一つは、帝は登場するのですが、最後におじいさんとおばあさんが山に行って「ながいきのくすり」を燃やしてしまう、という結末になっていました。

 

この二つを終わり方を比較して、読んだ印象はどう異なるのか、どちらの終わり方が悲しさを感じるか、などについて話し合いました。

 

その話し合いを経て、では原作の「竹取物語」ではどういう結末になっているんだろう、ということで、教科書掲載の結末を読みました。

とくに、天の羽衣を着せられたとたんに人の心を失くしてしまう展開に、生徒は驚いて「これが一番悲しい」「設定がえぐい」などとリアクションしていました。

翁と嫗の「血の涙を流して惑へど」といった表現もインパクトがあったようです。

 

最初に二つの紙芝居を比較させたことで、書き方によって読み手の受け取り方が変わる、ということが意識されたので、

竹取物語」原作の書かれ方にまで注目できた生徒が多かったように思いました。

 

結末から授業する、という展開にしてみましたが、古典の導入としてはなかなか楽しめたのではないかと思います。