Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

教師のうつへの対処法(1)

3月、身の回りで立て続けにいろんなことが起こり、完全に体調を崩してしまっていました。精神的なダメージも大きく、うつに近い状態でした。

 

幸い、家族や同僚の助けもあり、まだ本調子ではありませんが、徐々に回復しています。

 

数年前にも一度、精神的にまいってしまったことがあり、その時は心療内科で軽度のうつと診断されました。

今回は二回目ということで、辛いのは変わらないのですが、一方で割と客観的に自分の置かれている状況の分析もできていました。

 

何かの参考になるかとも思い、個人的な内容が特定できないようにしつつ、まとめてみたいと思います。

 

私の場合は、次のような体調の変化がありました。

・無気力感、仕事をする、本を読む、何か書く、誰かと話す、そういったことをする気が起きなくなりました。

・体調不良、慢性的に吐き気がしたり、手足が震えたり、微熱が続いたりしました。

・睡眠不足、うまく寝られなくなりました。

・情緒不安定、急に感情的になったり、涙が出てきたりしました。

 

このように、仕事に行くのもやっとの状態が続いたのですが、

そのような中で、職場の仲間に助けられたなと感じたことがいくつかあります。

 

(1)同じ学年の先生が仕事を引き受けてくれたこと

学年の業務や、担任の業務など、私がきつそうなのを見かねて、どんどん代わってくれました。自分からはなかなかお願いしますと言いづらかったので、何も言わなくても「ホームルーム代わりに行ってくるよ、職員室にいたら」などと引き受けてくれるのは助かりました。

 

(2)先生方が気を遣ってくれたこと

「大丈夫ですか」などといろんな先生から声をかけてもらえました。その時はうまく反応できなかったのですが、気にかけてもらっているという安心感がありました。

養護の先生は、細かいことは触れずに「これ読んでみてください」とマンガを貸してくれました(『聖☆おにいさん』)。読んでみると、くだらないギャグマンガで、かなり気持ちが紛れました。相手に負担をかけない気遣いが本当にありがたかった。

その他、話したくなったらいつでも連絡ください、と声をかけてくれる先生方もいました。

 

(3)対話の機会があったこと

職員が集まって、考えていることを話し合う機会がありました。

対話を通じて、自分だけではない、同じようなことを感じている人が他にもいる、ということが分かり、少し客観的に自分を見ることができました。

また、自分の考えを聞いてもらえた、受け入れてもらえた、と感じたことで、その後ずいぶん気持ちが楽になりました。

「聞く」ことの効用は頭ではわかっていましたが、自分が当事者になって、改めて実感した次第です。

 

(4)スクールカウンセラーの専門的な知識の共有があったこと

しばらくしてから、スクールカウンセラーの方の話を聞く機会を得ました。

その先生によれば、

食欲低下や睡眠不足、手足の震えなどは生命の危険を察知した動物としての本能的な反応である、

危険を察知した動物の反応は一時的なもので、すぐ収まるが、人間の場合原因が心であるため、しばらくはそれが続いてしまう、

だから自分がおかしいと思うのではなく、それが普通なんだと現状をありのままに受け入れ、時間が経って緩和するまで、負担を減らしていくようにしていくのがよい、

のだそうです。

こういう、知識理解からのアプローチは、自分の置かれている状況をより客観的に分析するのに有効でした。

 

その他、学校外で引き受けていた仕事を辞退したり、学校にいる時間を極力減らして遊びに出かけたり、春休みに思いきって旅行に出かけたり、

とにかく仕事から離れることだけを集中的に考えて、ようやく前向きな気持ちになれるところまで戻ってきました。

 

さて、今回の経験をふまえて、助けられた部分はいろいろあるのですが、もっとこうだった良かった、という点もいくつかあります。

次回はそのあたりについて書いてみたいと思います。