Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

童謡をテクスト分析の導入として

子どもをあやす時の子守唄や童謡、

自分の中で知っている曲が少なかったり、1番までしか分からなかったりで、

ひたすら同じ歌をリピートしていたのですが、

そんな中で見つけたのが、齋藤孝『音読でたのしむ 思い出の童謡・唱歌』(KADOKAWA)という本。

 

まあ類書はたくさんあると思いますが、歌詞の字が大きくて見やすいことと、

語句の注釈や、斎藤孝の解説が充実していて、教養書としても十分楽しめます。

赤ちゃんの読み聞かせにと思ったのですが、義母の方が懐かしがって、読んでおりました。

 

国際バカロレアMYP「言語と文学」の授業の中では、

中学1年生からテクストの分析などの課題をやるわけですが、

小学校の国語とはずいぶんとギャップがあって、生徒たちはとまどうようです。

 

これまで、中1の最初の方の授業では、読みやすい詩を使って(まど・みちお金子みすゞなど)分析の基本的な考え方を説明するようにしていました。

作者と語り手、形式や構成、レトリック(表現技法)など、自分で発見できるように練習していきます。

こちらで複数の詩を用意して紹介するのですが、その際、

一人称、三人称など、いろいろな語り手の詩を選ぶ、

自由詩、定型詩など、いろいろなリズムの詩を選ぶ、

基本的な表現技法が分かりやすく使われている詩を選ぶ、

などの観点で選んできました。

 

今回、この本を読みながら、もっと童謡を使ってもいいなと思いました。

春の小川は、さらさら行くよ。

岸のすみれや、れんげの花に、

すがたやさしく、色うつくしく

咲けよ咲けよと、ささやきながら。(「春の小川」高野辰之・詞)

 この歌の表現技法を指摘して、その効果についてコメントするとか、

 

烏 なぜ啼くの

烏は山に

可愛七つの

子があるからよ(「七つの子」野口雨情・詞)

この詞の語り手や、語られている情景を想像するとか、

 

古文の授業で、童謡の歌詞を例に挙げて説明しようとしたとき、

そんな歌知らない、聞いたこともない、という反応が返ってくることがあります。

自分の世代でもだんだん歌えなくなってきているので、

生徒たちの年代を考えると、こっちが思っている以上に知らないのかもしれません。

 

テクスト分析の初歩を学びつつ、

いろんな童謡にふれていくのも良い授業になるかなと思います。

音楽の授業とコラボしても楽しそうですね。