Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

校内でオンラインの単元づくり勉強会

休校措置と在宅勤務の関係で、新入職の先生方に、研修の機会が極端に少なくなっていると耳にしました。

そうだろうなと思います。

 

勤務校でも、IBの授業づくりをまったく知らない先生に少しずつ学んでいってもらう必要があります。

そこで、校内で簡単なオンライン勉強会でもやろうかと計画しました。

 

目標は3つ。

IBの単元作りの方法(逆向き設計)を知る。

教科内の他の先生と協働で単元を作る。

IBのユニット・プランナー(単元計画)を書いてみる。

 

とくに、「教材ベース」の単元づくりと「逆向き設計」の単元づくりの違いを意識してもらうことがねらいです。

「概念」をどう扱うか、どのような「探究」になっているか、など大事なことは他にもありますし、細かい要件もいろいろありますが、国語科の場合、まずはこの違いを理解してもらうのが良いのかなと考えています。

最初に「逆向き設計」に触れておくと、新任の先生や経験の少ない先生であっても、授業発想の枠が広がり、柔軟なアイデアが出てくると感じています。

 

「教材ベース」の単元づくりと「逆向き設計」の単元づくりの手順は、以下のような違いがあります。教師のセリフも参考に書いてみました。

 

「教材ベース」の単元づくりの手順

①教材を決める

「(教科書を見ながら)2学期最初の単元は『走れメロス』だな…」

②教材研究をする

「どんな授業をしようかな…(教科書を読む。先行実践を探す)」

③発問を考える

「(ワークシートを作りながら)どこに傍線を引こうかな…」

④授業のねらいを決める

「(学習指導要領を見て)どの項目に当たるかな…」

⑤学習活動を考える

「まずは全員で読んで、その後場面分けして…」

⑥評価は定期テスト

「どの部分をテストで出そうかな…」

こんな感じで、ずっと「走れメロス」の中にとどまった授業になる可能性があります。

(※あくまで一例です! 私は以前はこんな手順で考えていました)

 

「逆向き設計」の単元づくりの手順

①単元を通して生徒が理解することを考える

「小説に書かれた表現に注目して、作者の工夫を分析できるようになってほしいな…」

②単元を通して生徒が身につけるスキルを考える

「批判的に読む力と、話し合って友達の意見からも学んでほしいからコミュニケーション能力と…」

③問いを考える

「『作者は表現にどのような工夫をしているか』『作者は読者にどのような期待をしているか』とかはどうだろう…」

④評価方法を考える(形成的評価/総括的評価)

「プレゼンテーションにしようか、小論文を書く課題にしようか…」

⑤学習活動を選ぶ

「最初に短い小説で分析の練習をして、その後少しレベルを上げて…」

⑥教材を選ぶ

「最初は星新一ショートショートとか使うと取り組みやすくなるかも。その後『走れメロス』を読んでみよう。他に比較で使えそうな作品は…」

 

ちょっと都合のいいセリフ回しですが(笑)、およそこんな違いがあるのではないかと。

私の場合、IBの単元づくりや「逆向き設計」を学んだことで、単元づくりが楽しくなっていったという経験があり、教科内でそういう楽しさが共有できるといいなと思っています。