Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。IB=国際バカロレア、RW=Reading Workshop、WW=Writing Workshop、P4C=子どものための哲学

オンライン勉強会、探究キーワードを使った目標の立て方

2回目の校内オンライン勉強会を行いました。

 

前回は逆向き設計について学び、今回は概念キーワードを使った目標の立て方について、参加者で検討しました。

 

授業を計画する際、

知識ベースの目標や、スキルベースの目標を立てて単元を設計するのが一般的です。

知識ベースの目標とは、授業を通してこういう知識を身につけてほしい(漢字、文法、本文の読解、古典など)という目標です。

スキルベースの目標は、授業を通してこういうことができるようになってほしい(読む、書く、話す、聞く)、というものです。

 

概念的な生徒に理解してほしいことを最初に設定し、それをもとに単元を計画するアプローチは、あまり一般的ではないと思います。

 

学習指導要領には、概念的に生徒に理解してほしいことがたくさん書かれています(今回の改定で「見方・考え方」という表現で、よりその傾向は強まりました)。しかし、あまり有効活用されず「浮いて」しまっているケースもあります。

 

前置きが長くなりましたが、IBではこれを全教員が行います(世界中で)。

そこで、年齢や地域に関係なく概念ベースの授業設計ができるように、さまざまなガイドが用いられます。

 

今回は、そのガイドの中から、

「重要概念」「関連概念」を組み合わせて、単元の目標を設定する、というワークショップを行いました。

 

以前のエントリーにも書きましたが、

「重要概念」とは、「コミュニケーション」「ものの見方」「変化」など、どの教科でも使える概念キーワードです。

「関連概念」とは、「登場人物」「設定」「ジャンル」など、国語に関する概念キーワードです。

これらを組み合わせることで、概念的な生徒に理解させたいことを明文化していきます。

これらのキーワードを意識的に用いることで、単元の目標が知識ベース、スキルベースでとどまることなく、より広く、多様な目標設定を可能にする、とも言えます。

 

とはいえ、どうしても抽象的な話になるので、最初はぴんときません。

ワークショップなどを通して、いろいろ試していくうちに、徐々に慣れていってもらうのがよいと思います。

 

今日の勉強会では、中学一年生の古典の単元を想定して、

概念キーワードを組み合わせるとどんなフレーズができるか考えていきました。

 

例えばこんな感じです。

 

「ものの見方」×「テクスト間の関連」×「受け手側の受容」

「テクストの書かれ方によって、受け手は異なるものの見方をする」

古典の訳し方の違いによって、どのように読み手の印象が変わるか、または訳者はどのような意図をもって訳しているか、などの探究ができそうです。

 

「文化」×「ジャンル」×「設定」

「物語の設定の共通点や相違点を比較していくことで、その国の文化が見えてくる」

古典作品に書かれていることか、昔の文化を学んだり、海外の物語と比較することで、互いの文化の違いについて考える活動ができそうです。

 

「変化」×「視点」×「受け手側の受容」

「1つの物事でも、視点や受け手によって異なる「物語」が生まれる」

共通のテクストを読んで、どのような解釈をするか、という探究になりそう。古典だけでなく、小説の読解にもつながります。

 

IBの用語では、これらを「探究ステートメント(探究テーマとも)」と呼んでいます。

概念キーワードを組み合わせながら、文を作り、生徒は単元を通してこういうことを理解する、こういう方向性で探究をする、と文字通り「宣言」するわけです。

 

概念キーワードは、先生のやりたい授業を制限するものではありません。

授業の発想を広げるための、思考ツールとして使うのが良いように思います。

最初はぎこちなくても、使っていくうちにだんだんと概念的に考えられるようになっていくのは、先生も生徒も同じです。

 

ただ、ひとりでやっていてもあんまり面白くないので、

教科会や、今回のような勉強会で、仲間とわーわー言いながら考えていくのが楽しいです。