【読書】『ヨチヨチ父―とまどう日々―』
父親になってもうすぐ3カ月、書店でこの本を見つけました。
ヨシタケシンスケ『ヨチヨチ父―とまどう日々―』(赤ちゃんとママ社、2017年)
ヨシタケシンスケさんの『りんごかもしれない』を哲学対話の授業で使ったりしていますが、とっても好きな作家さんです。
この本は、ヨシタケさんが父親目線でつづる育児イラストエッセイです。
しばらく育児を経験した後だと、どのページをめくっても、ああこの気持ち分かる!と、にやにやしたり、自分だけじゃないんだなぁ、と安心したりしてしまいます。
「心理的にもビジュアル的にも、当然我が子が一番かわいいわけですが、」
という言葉を添えて、自分の子どもの他の子どもを見比べながら、心の中で「ハイ、うちの勝ち―。」と思っているヨシタケさんのイラスト、
自分もまさに同じことをやっていて、笑ってしまいました。
ところで先日、千野帽子さんが育児に関するツイートをされていて、私が反応したところ、ご本人からリプライをいただき、いくつかやりとりさせてもらいました。
詳しくは一連のツイートを見ていただくとして、
家事育児に積極的に参加してる夫ほど意外に「オトコ」な思考である、という記事を以前読んだけど、n=1で言うとそんな感じだなと思う。自分の「ヘテロ男」性を自分で許せるようになってきたせいで、妻子起床前に起きてほぼ3食用意して雑ながら掃除洗濯もやり、仕事は妻子就寝後だ。動物として生きてる。
— 千野 帽子『物語は人生を救うのか』ちくまプリマー新書 (@chinoboshka) 2020年5月28日
ここで語られていたのは、「妻の気持ちを考えて夫はもっと家事を負担しましょう」といった「夫が妻に認められるために」みたいなメッセージばかりがあふれ、それによって逆にモチベーションがすり減っていく。それよりも、家庭内で弱い者が困っていたら助けるのが当然、という「オトコ」な思想で考える方が千野さんにとっては自然なことだ、という内容でした。
これまで育児をしていてなんだかもやもやしたり、気分が落ち込んだりする時があったのですが、このツイートを読んだときに、ああこれが原因だったのか、と納得できた気がしました。
育児雑誌にはパパが読むページなどがあるのですが、「これ読んでおいてね」などと渡されて、そこには「言ってはいけないNGワード特集」などがあったりします。
そういうことをくり返しているうちに、いつの間にか妻の顔色を常に気にしたり、赤ちゃんのためというより、妻に怒られないように、妻の機嫌を損ねないように、という思考になり、疲れてしまったのかもしれません。
そう考えてみると『ヨチヨチ父』は、前者の風潮に対して自虐・諧謔を織り交ぜた、サラリーマン川柳のようなものかもしれません。
帯にある、
「ママっていつもイライラしてるよね? パパって何か蚊帳の外だよね…?」
という文句がそれを表しているようです。
長い子育て。どの物語を採用するかで受け止め方が変わってきます。
自分事にして、時には自虐でガス抜きして、肩の力を抜いて楽しめたらなぁと思います。