Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

今週の名文(5)

お前が今まさに見ているこの景色

きっとこれは10年後にもまた起こる

その時お前は26歳だ

その時お前は全く俺と同じことをしなければならない

分かるか?

10年後だ

お前はまたここにいる

だからいまお前ら16歳にやってほしいことがある

何かいい方法を編み出すことだ


◯黒人差別反対のデモ。三世代の人がやりとりする動画をTwitterで見て、胸を打たれた。

最近「ヘアスプレー」(2007年)という映画を観た。舞台は60年代、黒人差別の問題を描いたミュージカルなのだが、その中の「差別解消は一歩ずつ ドアは少しずつ開く」という言葉が印象的だった。

ドアはまだ開ききっていない。



何事もゼロか100じゃないんですよ。何事も5149。でも出てきた結論は、ゼロか100に見えるんですよ。5149で決まってることが。政治っていうのは、勝った51がどれだけ残りの49を背負うかなんです。でも勝った51が勝った51のために政治をしてるんですよ、いま


小川淳也「なぜ君は首相になれないのか」ドキュメンタリー制作記事より。こういう政治家を応援したい。




「やらなきゃいけないことはわかってるのに、でにない」状態は、人間にとって非常につらいものです。でも人生においてはそのような状況に陥ってしまうことがたびたびあるのも事実ですら、それを「自己責任」というのはまちがいです。悪い条件がたまたま重なってしまっただけです。

生きていくうえで、意志の力だけではどうにもならないことなあります。それを知ってこそ、うずくまる弱者に手を差し伸べることがでにる人になります。状況がちょっとでも違ったら、目の前の彼または彼女は、自分だったかもしれないと思えるからです。


◯おおたとしまさ「塾が教えない中学受験必笑法」(6月6日朝日新聞)より。

この視点はいつも持ち続けたい。「できる」側の論理だけで生徒と向き合うことがないように。




つまり、最初はできるだけゆっくり書く。そして形が正確につかめるようになると、少しだけスピードを上げる。これをくり返してゆくのである。ジャズトランペットの名手W・マルサリスも次のように言っている。

じっくりと練習すること。通常の早さよりテンポを落として練習することで、指先や筋肉に本来のリズムが戻る。

苦手な部分ほど反復せよ。

曲のすみずみまで気を配れ。


◯筒井茂徳『楷書がうまくなる本』(二玄社)より。最近、苦手な小筆楷書を練習している。今日、少し「つかめた」という感じを得た。この身体で理解する感覚が、やっていて面白い。