Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

授業実践本の著作権について~『ラクイチ授業プラン』ができるまで⑧

授業実践本を作る際に、十分意識しなければならないのが著作権についてです。

ここをいいかげんにしてしまうと、後で大きな問題になりかねません。

 

本に載せたい内容の中で著作権に関連することとして、

「公表されている著作物」「生徒の成果物」「先行授業実践」の3つについて考えてみたいと思います。

 

公表された著作物について

教師が授業内で著作物を使う場合は、著作権の制限規定に当たるため、著者や権利者の許可をとる必要はありません。

だからこそ、本の一部をコピーして配ったり、教材プリントにしたりできるわけです。

ただ、普段からこのように著作物を使うことに慣れているため、他者の著作物について認識が甘くなってしまうということも起こりえます。

この点は、以前の記事でも少しふれました。

senobi.hateblo.jp

 

さて、自分の本に他人の著作物を載せたい場合は、当然著作権者の許諾を得る必要があります。

その場合、著者または著作権を管理している団体に連絡しなければなりません。

著作物を取りまとめている管理団体に一定の金額を支払うことで載せることができる、というケースもあります。

 

これは文章だけでなく、図やグラフ、イラスト、写真などについても同じです。

インターネットで拾ってきた画像をそのまま載せる、ということは、授業プリントではできても、本を作るときにはできません。

(フリー素材であっても、出版物に載せる場合には連絡が必要、などとしているところが多いです)

 

もちろん、出典を明記した上での引用であれば載せることができます。

そのため、本に他者の著作物を使いたい場合は、それが適切な引用にあたるのか、引用の範囲を逸脱していないか、常に確認していく必要があります。

 

生徒の成果物について

作ろうとしているのは授業実践の事例集です。

実際に行った授業で、生徒がどのような成果物を作ったのかを示した方が、読者である先生に授業のイメージが伝わりやすくなるかなと考えました。

 

ここで注意しなければならないのは、成果物の著作権は生徒自身にあるということです。

プリントを回収したとしても、著作権が先生の側に移るわけではありません。

そのため、生徒の成果物を本に載せたい場合は、それを作った生徒の許諾を得る必要があります。保護者にも連絡をしておくと確実です。

当然ですが、生徒の著作物ですので、勝手に改編してはいけません。

 

また、本に載せる際には、生徒の名前などの個人情報について十分に配慮する必要があります(著作権とは別の話ですが)。

 

ここまでは基本なのですが、悩ましかったのが「先行授業実践」をどう考えるか、という問題でした。

長くなってきましたので、次回に続きます!