Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

【読書】『ことばの発達の謎を解く』

今回紹介するのは、今井むつみさんの『ことばの発達の謎を解く』(ちくまプリマ―新書)です。

 今井さんの本は何冊か読んでいますが、毎度面白いですね。

 

この本では、赤ちゃんがどのように言葉を獲得していくのか、その仕組みや理由を、実験結果などをふまえながら解説していきます。

読んでいくと、誰かに言いたくなるような話が満載でした。(私も、すぐ妻にしゃべりました笑)

 

例えば、

赤ちゃんはお腹にいるときからすでに母語のリズムやイントネーションを聞いていて、その結果、生まれてすぐの赤ちゃんでも母語と外国語の区別がつく、という話や、

なんでそれが分かるのかというと、おしゃぶりの強さで分かる(慣れ親しんだ日本語が聞こえてくると吸い方が強くなり、外国語になると弱くなる)、

みたいな話が次々紹介されます。

読みながら、つい「へぇ~」とか言いたくなります。

 

赤ちゃんは音の連なりを繰り返し聞くことで、徐々に意味のかたまりや単語を切り分けることができるようになる、という話も興味深かったです。

そしてそれは言語によって異なり、日本語の場合は、助詞や助動詞など、間に挟まる言葉を手掛かりに意味を切り分けていきます。英語であれば、アクセントが手掛かりになるそうです。

 

また、単語が分かってくるようになった後、その単語がものの名前をさすのか(名詞)、動作を表すのか(動詞)、性質や色を表すのか(形容詞など)、果たして赤ちゃんはどのようにそれらを理解していくのか、という内容も面白かったですね。

詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、赤ちゃんは「使われ方」から判断していくのだそうです。

例えば、直後に「が(格助詞)」の音がくる頻度が多いと、それは目の前のもののことを言っている、とか、「~た、~ている」の音が続く場合は、今の動きと関連している、など、そういうことを「経験的に」理解していく。

 

その過程で、様々な言い間違いが起こります。

大人からすれば可愛い言い間違い(ときには詩人のように思えることも)ですが、それは赤ちゃんが自分の理解で言葉の働きを探っている、そのあらわれです。

本書では、なぜそういう言い間違いが生まれるのか、などにも言及されていて、そちらも読んでいて楽しめました。

 

こういう話を、文法の授業の時に生徒に紹介したら面白いだろうな、と思いました。

言葉の獲得に格助詞がいかに大切か、動詞は活用することが肝心で、形容詞は活用語尾の「〇〇い」によって支えられている…など、文法用語を用いて説明することの意義や必要性も伝わるのではなかろうかと。

 

それにしても、赤ちゃんが、何も分からないところから失敗を繰り返し、言葉を獲得していくプロセスは感動的です。

うちの子はまだ4カ月で「あー」とか「うー」しか言いませんが、親の言葉を聞きながら理解しようとしているのでしょうか。

これからどう言葉を使い始めていくのか、楽しみです。