Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

校正は大変~『ラクイチ授業プラン』ができるまで⑫

メンバーで分担し、予定通りの原稿を書き終えて、入稿!

ですが、作業はそこで終わりではありません。

 校正作業が待っています。

 

入稿した原稿をもとに、出版社の方で見本を作ってくれます。

ページを組んで、実際の本と同じようなレイアウトで出てきます。

それを見た時に、自分の書いたものが本になるんだ!という実感がわいてきました。

 

さて、喜びに浸っている暇はなく「著者校正」をしなければなりません。

全部最初から読み直し、気づいた間違いや、直したいところに朱を入れていく、という作業です。

 

この作業が想像していたより大変でした。

 

PC画面では気づかなかった誤字・脱字がたくさんあります。

引用や、出典、URLなどに間違いがないかももう一度当たりなおさなければなりません。

他にも、ワークシートのレイアウトがずれていたり、うまく表示されていなかったりと、いろいろな問題が見つかりました。

 

それ以外にも、間違いではないのですが、読み直していくと、ああもっとこう書いた方が良かったな、ここの説明が足りないな、ここは長すぎる…などと、どんどん手直しをしたくなってきます。

そして、それをやりだすと終わらない。

 

出版社の人が、全員で著者校正をするのを止めてくれ、代表者だけにしてほしい、と言っていた理由が分かりました。

全員でやっていると、話し合いが始まってしまっていつまでたっても作業が進まなくなるんですね。

あと、著者校正の締め切りが極端に短い理由も。

長い時間があると、それだけ直しが増えてしまいます。

必要最低限の直しをやって、もうこれで行こう!という思い切りが大事です。

とはいえ、せっかく出版するのですから(しかも私にとって初めての本)、できるだけ良いものを出したい、というのが心情です。

そのせめぎ合いでした。

 

当然、本業の仕事があるわけで、この時期は家に帰ってから、コツコツ夜に一人作業をする、という毎日を過ごしていました。

いやー、キツかったですね。

 

それだけ苦労して、何度も読み返したにも関わらず、実際に完成した本には、何か所か

ミスが残っていました。

なぜ気づけなかったんだ!と悔しい思いをしましたが、まぁ完璧なものは難しいです。

あるベテランの著者が、最初の本は校正を必死にやるんだけど、2冊目以降になると、「まぁどれだけやってもミスはあるから、その時は重版になったら直そう」くらいの気持ちになるよ、と話してくれたことがあります。

今ならその気持ち、わかるような気がします。

 

以前は、本を読んでいて誤植を見つけると「あ、こんなところにミスを発見!」と喜んだものですが、自分でやってみた後だと、「校正大変ですよね…」と作者に同情するようになりました(笑)

 

余談です。

この記事を書いていて「校正恐るべし」っていう洒落を思いついたのですが、誰か言ってそうだなと思い調べてみたら、

福地源一郎(東京日日新聞の初代社長)が明治時代にすでに言っていました。

みんな苦労してるんですね…。