今週の名文(18)
魚に泳ぎ方を教える
子どもに数学を教えるのは、魚に泳ぎ方を教えるのと同じである。魚はもともと泳ぎ方がうまい。教える必要はない。ただ、きれいな水とゆたかな緑の環境を用意すればよい。
積読本になっていた『経済学は人びとを幸福にできるか』(東洋経済新報社)より。教育に関するいろんなヒントもあって、読んでいて楽しかった。
「魚に泳ぎ方を教える」っていう喩えが気に入りました。
読書も同じなんじゃないかなぁ。
最近の青年たちはしらけているといった類の発言がしばしば見受けられる。しかし、実態はその逆であって、しらけているのは私ども教師たちの方ではないかと思われることがある。
同じ本からもう一つ。自分もそうなっていないか、これもはっとさせられます。
そうありたい理想の自分だけを「本当の自分」だと思い込んだ人ほど不幸な人はいない。自分はいつも〈いま・ここ〉にはいない。そうありたい自分は、常に〈いま・ここ〉にはいないのだから。
『受験国語が君を救う』(河出書房新社)より。
こういうのを読むと、自分は果たして〈いま・ここ〉を大切にしているんだろうか、と考えてしまいますね。
選択した結果「選ばれなかった未来」の方ではどんな人生になっていたのか。そういうことがつい気になります。
キャンディ 夜が明ける
ゆっくり大人に なってゆくぼくら
なにかを決めなきゃね
ずいぶん昔に聴いた、ムーンライダーズ「Sweet Bitter Candy」の歌詞を思い出しました。
これを最初に聴いたのは高校生くらいだったかなぁ、ポップなメロディとは裏腹に、大人になって何かを決めるということは、それ以外の可能性をすべて捨てるということなんだと、その重大さに怖くなったことを覚えています。