PYP・MYP・DPって何?~国際バカロレア入門④
前回までに、IBの使命や10の学習者像について紹介しました。
IBでは、年齢によって異なるプログラムが用意されています。
それがPYP・MYP・DPと呼ばれるものです(略称ばかりですみません)。
PYPって何?
PYPとは初等教育プログラム(Primary Years Programme)のことで、3歳~12歳が対象です。
特徴的で面白いなと思うのは、教科横断的なテーマが決められており、こどもたちがいろんな教科のアプローチを使って探究するような仕組みになっています。
そのテーマとは、
私たちは誰なのか
私たちはどのような時代と場所にいるのか
私たちはどのように自分を表現するのか
世界はどのような仕組みになっているのか
私たちは自分たちをどう組織しているのか
この地球を共有するということ
(『PYPのつくり方』より)
の6つです。
ずいぶん抽象的で、小学校からこういう問いに向き合うのか、と驚きますね。
IBによればこういうテーマについて探究することで、概念理解を促したり、国際的な視野をもつ人間を育てるのだそうです。
PYPの教科としては、言語、社会、算数、芸術、理科、体育の6つがあります。
MYPって何?
さて、次はMYPです。中等教育プログラム(Middle Years Programme)のことで、11歳~16歳までの5年間で行います。
学習する教科は以下の8教科。( )内は日本での教科名をあてはめた場合です。
・言語と文学(国語)
・言語の習得(外国語)
・個人と社会(社会)
・理科
・数学
・芸術(音楽・美術)
・保健体育
・デザイン(技術・家庭)
PYPのような教科横断的なテーマはありませんが、どの教科でも概念学習、探究学習をすることが必須です。
私は勤務校では主に、MYPの「言語と文学」を担当しています。
(ブログの記事もそれ関係が中心です)
DPって何?
最後、DPはディプロマ・プログラム(Diploma Programme)のことで、16歳~19歳が対象です。
2年間履修し、最終試験で一定の成績を取ることで、国際バカロレア資格(ディプロマ)を取得することができます。そしてこのディプロマが国際的に使える大学入学資格になります。
科目に関する細かい要件はいろいろあるのですが、大雑把にいうと、
・言語と文学(母国語)
・言語習得(外国語)
・個人と社会(社会)
・理科
・数学
・芸術
の6つのグループの中から1教科ずつ選択し、学習します。
文系・理系というような区別はありません。
教科の学習以外にも、卒業論文の作成、TOK(知の理論)、CASと呼ばれる活動があり、生徒はかなり大変です。
日本での運用のされ方
それぞれに対象年齢や実施期間が定められており、日本の学校制度とも微妙にずれています。
インターナショナルスクールなどでは、その年齢に合わせたプログラムを行っているようですが、小・中・高それぞれ分かれた学校ではなかなかそうはいきません。
一概には言えませんが、高校だけでIBをやっている場合、1年生の時は準備期間とし、高2、高3の2年間でDPを行っているところが多いです。
中高一貫校でIBをやっている場合は、中学1年生~高校1年生までの4年間でMYPを行い(厳密に5年でなくてもよい)、高2、高3でDPに移行します。
数は多くありませんが、小中一貫校であれば、小1~小5まではPYP、小6~中3までMYPという運用が可能です。