藤原さとさんの「『探究』する学びをつくる」オンラインセミナーに参加しました
先日の記事の続きになりますが、藤原さとさん、ドルトン東京学園の荒木貴之先生によるオンラインセミナーに参加しました。
こういう形で著者の方のお話を直接うかがうことができ、ありがたいです。
ハイ・テック・ハイの話だけでなく、勤務校でも応用可能な実践例や考え方など、とても勉強になりました。
本の紹介は前回の記事を読んでいただくとして、セミナーの中で印象的だった内容を書いていきます。
先生たちのコラボレーション
これはやってみたいなと思ったのが、プロジェクトチームを2つに分けて、文系の先生と理系の先生がペアで担当する、という方法です。
生徒はプロジェクトでぶつかった問題点に合わせて、両方の先生に相談できる。
担当する先生にとっても、自分の分からないことはペアの先生に任せることができ、そうすることでお互いに尊重し合えるのだそうです。
(同じ教科の先生とだと、いろいろ相手のやり方が気になっちゃったりするから。分かるなあ笑)
また、プロジェクトを計画するときも、分野の異なるペアの先生と一緒にやるそうです。たしかに、そのやり方だとアイデアが広がりそう。
IBのカリキュラムでも「学際的授業(教科横断型の授業)」が重要視されています。しかし実際には、なかなか話し合う時間が取れなくて苦労することに…。
まずは先生たちがゆっくり話し合える時間的余裕が必要です!(ここは強く言っておきたい)
藤原さんの、誰かの探究の定義をなぞるのではなく、自分なりの探究を大事にする、っていう言葉が印象的でした。
外的な理由でやらされるのでなく、まずは先生たち自身が、探究を楽しめるようになることが大切ですね。
上手くいっていないところを見せる
もう一つ印象に残ったのは、チームに分かれた子どもたちが、自分たちのプロジェクトで悩んでいることを相手チームに相談する、という活動。
上手くいっているところを見せ合うだけだと相手の話を聞かないけれど、上手くいっていないところを見せることで、お互いに優しくなれるのだそうです。
これもよくわかる気がします。
IBの学習者像には「心を開く人」「思いやりのある人」などがモデルとして示されていて、共通するものを感じます。
キーワードは「Kind, Helpful, Specific」、子どもたちにも覚えやすいですね。
構成主義、などと言われますが、荒木先生からの「構成」とは何か?という質問に対して藤原さんは、すべてを先生が見取るのではなく、子どもたち同士で認め合うことが「構成」だと説明されていました。この説明、とてもしっくりきます。
こういった考え方は、先生の側にも当てはまりますね。
プロジェクト学習では、先生も分からないことがたくさん出てきます。先生はそこで子どもと一緒になって学び、探究する。ときには自分が上手くいっていないところを生徒と共有する。
そういう関係性づくりが「構成」にとって大事なのでしょう。
発表会の位置づけ
生徒にとって部活の試合や発表会は、それが真剣な場であるという前提が共有されているのに、学びの成果の発表会はそうなっていない、という指摘がありました。
たしかにそうだと思います。
こういう状況をどう変えていくか。PBLの成果発表が真剣で、かつ楽しいものであるという学校文化をどう作っていくか。
現状をふりかえってみると、成績・評価などの外的動機付けに頼りすぎていないか、親が見に来るぞなど、発表会が脅しの道具になっていないか、反省することが多いです。
真剣に学ぶから楽しい、という気持ちに少しでも近づくような、そんなプロジェクトや発表会を考えていきたいです。
貴重な機会をいただき、ありがとうございました!