Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

今週の名文(15)

個性は大切ですが、癖と個性は違います。まずは正しい漢字の美しさを認識することが先です。

  書家・熊峰(ゆうほう)

 

NHK「奇跡のレッスン」再放送で、書道の回をやっていた。書家の熊峰さんが、広島熊野の中学生に書道のレッスンをする。

ある生徒の転折の癖を直していたとき、顧問の先生がそれもその生徒の「個性」なのではないか、と質問する。それに対する回答。

すべての漢字には1つ1つ決まった美の基準(=書法、字の法律)があるという。個性を出す前に、まずは美しさの基準を身に着けることが大切。

守破離でいう「守」ですね。

 

一から出直す

  木村一基前王位

 

藤井聡太七段に敗れた前王位のコメント。

将棋には詳しくないが、自分で「負けました」と言わなければいけない潔さや、勝った時にもことさらに喜びを表に出さず、謙虚なふるまいを見せるところがいい。

自分はずっと剣道をやっていたが、剣道の試合でも、一本を取ったあとに大げさに喜んだり、礼節を忘れた態度をとると一本を取り消されることがある。

勝っても負けても、相手から学ぶ姿勢を持ち続ける。

 

どうして俺じゃなくてお前なんだよ!

  映画「ピンポン」より、佐久間(アクマ)の台詞

 

暑い中出かける気もおきず、家で昔観た映画を観返したりなどしている。

松本大洋原作の「ピンポン」。以前観たときは、ペコやドラゴンのキャラクターと、CG映像の面白さが印象に残っていたが、改めて見ると、サブキャラの佐久間(アクマ)がとても良かった。

才能に焦がれ、認められたくて、努力でそれを何とか乗り越えようとするが、それでも叶わない。

「才能がないだけだよ。大騒ぎするようなことじゃない」とスマイルに言われ、現実を思い知って自暴自棄になる。

「どこ見て歩きゃ褒めてくれるんだよ!」の台詞も良い。