Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

本のイメージをかためる~『ラクイチ授業プラン』ができるまで⑤

ページ見本の作成

無事に企画が会議を通り、本を出しても良いということになりました。

 

その次に行ったのが、ページ見本の作成です。

1時間で完結する、すぐに使える授業プランをたくさん載せたい、というのがもともとのコンセプトです。

そのため、見開き2ページで1つの授業プランを載せていく、という方針にしました。

 

見開きの右側にはワークシートをそのまま載せます。

これは、緊急のとき、授業準備をする時間がないときなどに、生徒の人数分コピーするだけですぐに実践できる、という使い方をしてほしかったからです。

これはすぐに決まりました。

 

問題は見開きの左側。授業プランの内容を解説する、教師用の「手引き」をどう書くか。ここが迷いました。

実践事例集にもいろいろなスタイルの本があります。

指導案の形で書かれているもの。

生徒の学習活動や発言を記録し、授業の様子を再現したもの。

筆者自身が文章で解説しているもの。

私が最初に思ったのは、このどれでもないレイアウトにしたい、ということでした。

なぜなら、既存のスタイルはどれも文章量が多く、読みこまないと理解できないからです。

時間がない時に使う、という今回のコンセプトとは合わないと考えました。

 

なるべく読まないで理解できるレイアウトを目指す

本書のターゲットは、次の時間に急な代行を頼まれた、とか、明日の授業準備をしている時間がない、などの状況に陥って困っている先生です。

そういう先生に、授業のやり方をじっくり読んでいる暇はありません。

そのため、ぱっと見ただけで直感的に一時間のイメージがわくようなレイアウトはできないだろうかと考えました。

 

手書きでラフを何度も作り、編集者さんとミーティングを重ね、どうしたら一目で授業展開が見やすく表現できるか、試行錯誤を続けました。

 

通常、授業実践などを本に載せたい場合は、限られたページの中にどれだけ多くの情報を盛り込み、読者に届けるかを考えがちです。

今回は、その逆を目指しました。どれだけ少ない情報で、読む手間を省き、読者に届けることができるか。

 

結果、出来上がったのが、次のようなページレイアウトです。

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 左側に手引き、右側にワークシートが載っています。全授業プランがこのように見開きで掲載されています。

 

手引きページにタイムラインと学習活動

具体的に、手引きページで行った工夫を紹介します。

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最初にタイトルやリード文を載せて、大まかな授業のイメージをつかめるようにしました。ここに、活動の概要や、授業のねらいが載っています。

 

ページの中心となるのは、タイムラインと、時間ごとの学習活動です。

なるべく文字を読む負担を減らし、1時間の授業展開を視覚的にとらえられるようにしました。

活動の枠にはアイコンを用意し、教師のすること、生徒個人での学習活動、グループでの学習活動、などが見やすくなるようになっています。

また、各活動の右側には、教師の発言例や、予想される生徒の反応を吹き出しで示し、授業の雰囲気を具体的にイメージできるようにしてあります。

 

下のポイントでは、説明しきれなかった注意点や、授業を行う上でのコツなどを箇条書きで表しています。

 

編集者さんや執筆メンバーで練り上げた、この「なるべく読まないでも分かるレイアウト」は、その後のラクイチ授業プランシリーズでも引き継がれていきいます。