Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

概念ベース授業づくりワークショップ

授業づくりワークショップ

先日、5回目の概念ベース授業づくり研究会を開催しました。(隔月開催)

参加者が数人でも、細々と続けていこうと当初は考えていましたが、

毎回、10人くらいの参加者があり、熱い話し合いが行われています。ありがたいことです。

 

さて、今回は夏休み企画ということで、

概念ベースの授業づくりワークショップを行いました。

初の試みです。

 

『理解をもたらす―』や、IBのガイドブックのアプローチを参考にし、

そして今読んでいる最中の『Concept-Based Curriculum and Instruction』の内容を早速取り入れながらやってみました。

Concept-Based Curriculum and Instruction for the Thinking Classroom (Corwin Teaching Essentials)

Concept-Based Curriculum and Instruction for the Thinking Classroom (Corwin Teaching Essentials)

 

 

ワークショップの手順

ワークショップの手順は以下の通りです。

 

①単元の大枠、扱いたいトピックを選ぶ

小説を読む、古典の学習をする、など(「走れメロス」を読む、など教材ベースも今回はありにしました)

 

②リストから概念を選ぶ

『Concept-Based-』には概念の例が挙げられていて、今回はその中から選びました。

対立  信念/価値  相互依存  自由  アイデンティティー  関係性  変化  視点(ものの見方)  権力  システム  構造/機能  デザイン  ヒーロー  強さ  つり合い  複雑さ  パラドックス  相互作用  転移  パターン  起源  革命  影響  バランス  核心  才能  有益  創造性 

(『Concept-Based Curriculum and Instruction』p.13のリストをもとに作成)

 

③選んだ概念を通してみたときに、どのような単元になりそうか考える

 

④別の概念を選ぶ

 

⑤概念を変えると、単元はどのように変わるか、考える

 

⑥2つを比べてみて、面白い方(生徒にとって良い単元になりそうな方)を選ぶ

 

⑦探究テーマ、探究の問い、を考える

「探究テーマ」とは、その単元を通して生徒が(概念的に)理解すること。

『理解をもたらす―』でいうゴールにあたります。

「探究の問い」については、以前のエントリーを参照してください。

 

senobi.hateblo.jp

 

⑧評価方法を考える

 

⑨学習活動を計画する

 

⑩教材を選ぶ

 

と、このような順番でワークシートに記入していきます。(30分程度)

この順番は「逆向き設計」を意図したものです。

 

だいたいの人が書けたら、シートを共有し、発表し合いました。

 

ふりかえり

今回試してみて、いろいろと課題はありましたが、可能性を感じました。

 

良かったこと

短い時間でたくさんの授業案が集まる!

今回は12人の参加で、それぞれ個人で取り組んだため、1時間程度のワークショップで、12本の単元アイデアが集まりました。

すぐに共有することで、他の人のアイデアを次に生かすこともできます。

 

逆向き設計が実践できる!

ワークシートを使って手順をふむことで、全員が「逆向き設計」を実行することが可能です。最初は窮屈さを感じると思いますが、そのうち慣れるのではないでしょうか。

 

改善ポイント

チームでやった方が楽しい

今回は2学期の単元設計を想定したため、個人戦にしてしまいましたが、チームでやった方がいろいろ刺激があって楽しそうです。

評価方法、使える教材アイデアなどにしても、チームの方が発想は広がるでしょう。

参加者の方から、「概念ベースだったとしても、結局やりやすい概念を選んでしまう」という発言があり、確かに、と思いました。

このあたり、検討する必要がありそうです。

 

ゲーム性をもたせる

共通の教材でやる、概念をくじで選ぶ、などゲーム性をもっともたせても良いのではないか、という意見も出ました。

ラクイチ授業プラン」シリーズをやっている身としては大賛成!

もっと楽しいワークショップになりそうです。

 

こういうワークショップを、普段の教科会でどんどんやっていきたいと思いました。

教科全体の指導力が確実にアップすると思います。

このような取り組みが自然にできるようなチームワークづくりが求められてきますね。