Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

弁論の要約

先日から弁論大会に向けた原稿を作成する課題に取り組んでいます。

 

生徒は、それぞれ関心のあるテーマを設定し、それについての意見を述べていきます。

 

ただ、自分の意見を分かりやすく述べる、という点に苦労する生徒がたくさんいます。

 

事実

問題提起

意見

理由・根拠

を分けて、読み手(聞き手)に伝わるような文章を書いてみよう、と促しているのですが、なかなか難しいようです。

 

そもそも段落を作ることができない生徒がまだそれなりにいます。

下書きをチェックして、一人一人に声をかけていく必要があります。

 

また、話の筋道ができておらず、何を言っているのか伝わってこない文章が出来上がってきます。

そういう生徒とは直接対話するなどして、どのようなことを書きたかったのか、整理する手伝いが必要です。

 

今日、クラスで取り組ませて有効だと思ったのは、自分の文章の要約を作ろう、という課題です。

 

「評論文の読解でよくやるけど、要約が書けるためには、文章が理解できていないといけないよね。

みんなは自分の書いた文章の要約ができるかな。自分の書いた文章であれば、内容は完全に分かっているはずだよね。

自分の文章の要約が書けないとしたら、それは自分でも何を書いているか分からないということなんじゃないかなぁ。

自分でも分かっていないんなら、他の人に伝わるわけはないよね。」

 

と、こんな説明をしたら、生徒はなるほどーといったリアクション。

 

この課題が良かったのは、

自分の作文、その論理性について客観的に考える機会になること。

話の展開がおかしいということに、自分で気づけることです。

 

また、要約を書いても気付けない生徒には、教師がその要約の添削をすることで、論理的におかしな点、不十分な点を指摘しやすくなるというメリットもあります。

これまでは書きあがった下書きをもとにして、ここもっとこうしたらいいよ、とかアドバイスをしていましたが、

今回は概要だけを読んで、理由が書かれてないよ、とか話題がずれているよ、などとアドバイスできるようになりました。

その結果、個別サポートの時間を短縮できるようになり、いつもより多くの生徒に声をかけて回れるようになりました。

 

この方法はもう少し洗練すると活用できそうです。