ちょうどいい課題を出すのは難しい
中学一年生の古典、
単元の最後に「紙芝居の脚本を書こう」という課題をやりました。
(1)複数の紙芝居と、原作を読み比べる。あらすじが同じでも、書き方や言葉の選び方で受け手の印象が変わることを学ぶ。
(2)冒頭文の音読、歴史的仮名遣いの学習
(3)教科書を読み、「竹取物語」の原話の学習
(4)「紙芝居の脚本を書こう」
はじめに、クラス全体で「竹取物語」から読み取れるテーマについて話し合います。
例えば、
かぐやひめの悲しさ
翁・嫗の悲しさ
といった登場人物に即した意見が出たほか、
愛する人と別れることの辛さ
子を失う親の悲しみ
富や権力をもっていても愛する人がいないのでは意味がない
当時の人々の月への憧れ
といった抽象化した意見も多数出ました。
次に、自分で伝えたいテーマを設定し、それをより効果的に伝えるために、物語をリライトする、という課題に取り組みました。
結果的には、これがあまりうまくいきませんでした。
同じストーリー展開でも、書かれ方の違いによって伝わる印象が変わる。
自分が設定したテーマを効果的に伝えるためには、どういうふうに書き方を工夫したらいいか。
そういうことを考えてもらおうと計画したのですが、生徒にとっては難しかったようです。
「悲しさ」をテーマに設定した生徒の多くは、翁と嫗が最後に死んでしまう展開にしていました。
不老不死の薬を飲んだおじいさんとおばあさんが、ロケットに乗って月に行くとか…。授業のねらいとはかなり離れた作文が出来上がってきました。
思いつかない、といって課題の取り組みが中途半端なままの生徒も多くいました。
反省。
単元をふりかえりって、どうすればよかったのか。
・あらすじを変えずに、という点が伝わっていなかった。または理解できていかなかった。
生徒は物語の展開を考えるのに夢中になる。細かい言葉の選択に注意を向けさせるまでになっていない。
(もとになる現代語訳を配った方がよかった)
・書き方や言葉の選択が変われば、同じあらすじでも読み手の印象が変わる、ということを実感できていない。
最初に紙芝居で例を示したが、それだけでは不足で、もっといろいろと例示した方がいい。
・そもそも物語を書くという経験や、物語を読むという経験が足りていない。
書き方を工夫をする前に、いろんな物語を紹介して、短い物語を書く練習をした方がいい。
中学一年生という年齢にとって、この課題はどうなのか、うちの生徒(目の前の生徒)にとって適切なのか。
ライティングワークショップの授業に取り組み始めたは良いけれど、
どのタイミングでどういう課題を設定し、どういう声がけ(サポート)をしていくか、
そういうロードマップが自分の中にないことを痛感しました。