IBの授業づくりを説明する
IBの教科リーダーや、校内の授業研修を担当しています。
そのため、4月最初には、新任の先生や始めてIBの授業を受け持つ先生に対して、IBではどのように授業を設計するのかを説明し、理解してもらわなければなりません。
私も学びながら、試行錯誤しながらではありますが、今の理解の範囲で、年度初めに他の先生方にした説明は次のようなものです。
(授業経験のある先生方へ)
みなさんは、これまでどのような手順で授業を設計していますか?
(新任の先生へ)
大学の授業や教育実習で、どのような手順で授業を計画してきましたか?
まず教科書の中から教材を選んで、教材分析をして、問いや課題を考えていくと思います。
指導案には、その教材を通して身につけさせたい力や、学習指導要領に沿ったねらいを書きます。
このやり方で単元を設計すると、一つの教材で一単元、ということが多くなります。「走れメロス」で5時間、といった具合に。
IBでは、単元(ユニットと言います)をもっと広くとるのが一般的です。
設計の順番として一番違うのは、その単元を通してどのような探究をしたいのか、どういうことを考えさせたいのか、どんなことを理解してほしいのか、そういう目標を先に立てるということです。
これを「探究テーマ」と言います。
例えば、「論理的であるとはどういうことか」とか、
「読者は小説を通して教訓を読み取ることがある」
というように、抽象的で懐の広いテーマを設定します。
これは授業を計画する教師が自由に設定することができます。
「探究テーマ」は、一つのテキストにとどまらず、概念的であることが求められます。
(その時に用いる「概念」については、また後日説明します。)
そういう「探究テーマ」を立てた後で、
どのような学習活動や課題を通してそれを達成するか、
そのためにどういうテキストを使うか、
という順番でユニットを設計していきます。
単元(ユニット)を設計する順番が異なるのです。
一つのテキストから設計を始めると、発想がそのテキストの中だけでとどまってしまい、別のテキストと結びつけたり、探究的な課題を考えるのが難しくなります。(一つのテキストの深掘りになりがち)
最初からテーマを広く取っておくと、複数のテキストを結びつけたり、探究的な学習活動が思いつきやすくなったりします。
もちろん、このテキストを読ませたい、というところからスタートしてユニットを組むこともあります。
ただ、その場合でも、そのテキストを通してどういう探究テーマが立てられるか、概念的に考えることを忘れないようにしてください。
-と、こういった話を最初にしました。
いきなりIBとは…概念とは…といった概論から入るより、
こうした具体的な授業づくりの話から入った方が興味が持てて、理解が早いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。