IBでの単元の作り方
国語の授業で「単元を作る」というと、教科書に掲載された教材をもとにして、テキストベースで考えるのが一般的です。
1年間で考えてみると、時々は教科書を離れた単元を組むこともあるでしょうが、概ね教科書の目次に沿って単元設計をしていく先生が多いのではないでしょうか。
IBのカリキュラムでは、授業は概念ベースであることが求められています。テキスト内容を教えて終わり、とはなりません。そもそも教科書がありません。
そこでMYP(中等教育プログラム)では、扱う概念や、概念的な「探究テーマ」を設定し、そこから授業内容の検討、扱う教材の選定を行なっていきます。
さて、今回のワークショップではDP(ディプロマ・プログラム)が、これまでより概念ベースになったことが示されました。
ワークショップ内で検討されたDPの単元の作り方は、IB以外の授業設計にも十分応用可能だと思いますので、紹介します。
今回ワークショップで取り上げられた単元の作り方は、次の3つです。
①概念をもとにつくる
②グローバルな問題をもとにつくる
③テキストをもとにつくる
それぞれ見ていきましょう。
①概念をもとにつくる
IBの授業では、コース内で扱うべき抽象度の高い概念が示されています。
重要とされているのは、次の7つの概念です。
・アイデンティティー
・文化
・創造性
・コミュニケーション
・観点
・変換
・表現
教師は、まず生徒の状況をふまえて、扱いたい概念を決め、それにふさわしいテキストを選択していきます。
一番「概念ベース」の作り方なのですが、スタートが抽象的すぎてなかなかテキストを探しにくいのが難点です。
②グローバルな問題をもとにつくる
ここでいうグローバルな問題とは、ジェンダー、民族、戦争、環境問題、といった今まさに世界で問題となっているようなことです。
教師は、生徒と共に考えたい問題を選び、それにふさわしいテキストを選択します。
③テキストをもとにつくる
今回のワークショップでは、「間テキスト相互作用」という用語が頻出しました。
テキストをもとにするといっても、1つのテキストだけを取り上げて単元を終わりにするのではなく、
そのテキストにどういった「非文学テキスト(写真、映像、ウェブなど)」を組み合わせ、生徒とどういう探究をするか、検討します。
①〜③いずれにしても、教師の側で沢山の引き出しを持っていることが求められます。
一人ではアイデアが偏るので、教科内外の先生たちと、情報交換を積極的にしていくことが大事です。
こういうことを一人で考えていても、あんまり面白くないんですよね…。
そのために、教員間でのコミュニケーションや、気楽に自由に意見交換できる教科会の実施が不可欠です。