【読書】『14歳からの読解力教室』読解力にとどまらない学ぶ力
評判になっていた本を読んでみました。
犬塚美輪『生きる力を身につける 14歳からの読解力教室』
この「〇歳からの」というフレーズはよく使われて、ときには首をかしげるものもありますが、この本に関してはぴったりだと思いましたね。
まさに、中学生くらいから(それも入学したてではなく、後半あたりで)知っておいてほしい内容が満載だったからです。
説明文の読み方と物語文の読み方はどう違うか、
ひとはどう物事を理解するのか(記憶のネットワーク)、
学習語彙の大切さ、
など、タイトルで「読解力」に限定した本だと思っていましたが、それ以上に「学び方」を知る上で重要なことがたくさん載っています。
内容は盛りだくさんですが、タイトル通り中学生くらいから楽しくすいすい読めると思います。
全編会話文形式であることや、図やイラストが盛りだくさんなこともありますが、
それ以外にも、
記憶の仕組みを理解するために、まず「二重貯蔵モデル」をご紹介しましょう。モデルというのは、〝理論を説明するための考え方〟です。
というように、語彙が少なく読むのが苦手な生徒に対しての心配りが、とても行き届いている本だと感じました。
本書では、「読解力を向上させる6つの方略」として、本書では以下のような項目が挙げられれています。
・基本的な読み方コントロール
・明確化
・要点把握
・理解チェック
・構造注目
・知識の活用
こういう内容を事前に生徒に示し、授業の適切なタイミングで、どの方略を使っているか、などと確認させるのは有効だろうと思います。
また、この方略は下にいくほど高度になるのですが、学年に合わせて、重点的に扱う方略を決めておくのもよさそうです。
これまでも、こういう内容を授業中に生徒に話しているのですが、場当たり的というか断片的で、生徒の記憶にも残りにくいのではないかと反省しました。
また、少ししか触れないので、次の瞬間には忘れてしまい、生徒の成長の実感につながっていなかったように思います。
本書でも次のように述べられています。
先生としては、方略を教えているつもりでも、生徒たちが自分自身で使っていく〝作戦〟だとはなかなかハッキリ言わないために、授業中の課題だから授業が終わったら関係ない、と考えてしまうのかもしれないですね。まずは先生が〝あからさまに〟教えてくれる機会が増えることが必要だといえるかもしれません。(p.122)
教科の知識については、どの学年で何を教えるのかがはっきり決まっていますが、
この本で述べられているような「読解力」「学び方」「批判的思考」などについては、いつ何を教えるのか、というのがはっきりしません。
結果、それぞれの先生がばらばらに生徒に伝えている、というところが多いのではないでしょうか。
事前にカリキュラムに組み入れて、いつ、何を生徒に直接的に教えるか、またそれをどう各教科で活用していくのか、そういう計画を立てていきたいと思いました。