Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

「探究型課題」の取り組ませ方

IBコースの授業や、ワークショップ授業のなかで、従来とは異なるタイプの課題に取り組ませる機会が増えてきました。

自分の好きなトピックについて調べてレポートを書く、本を一冊選び論評する、自分でテーマを選んで創作する、というような課題です。

これまでの課題の出し方と言えば、教科書〇ページを解いてきなさい、とか、このプリントをいつまでにやってきなさい、といったものが一般的です。このような課題の場合、全ての生徒が同じ質の成果物を提出することが求められます。仮にこのタイプの課題を「一斉課題」と呼ぶことにします。

「一斉課題」の場合、生徒にはいつ取り組むか、という時間的な選択の自由はありますが、どこまで自分の課題の質を高めるのか、については考える必要がありません。というより、そもそもそういう発想自体が生まれてこないと思います。

 

一方最初に挙げたような課題の場合はそうではありません。

生徒は、いつ取り組むかという点に加え、どれくらいのクオリティで課題を終わらせるのか、という質的な選択の自由があるのです。

こういうタイプの課題のことをここでは「探究型課題」としてみます。

探究型課題に生徒が取り組む場合、

・課題の内容、教師が求めていることを理解する。・・・A

・いつまでに終わらせなければならないか(締め切り)を把握する。・・・B

・どれくらいのクオリティを目指すのか、目標を立てる。・・・C

・課題達成のためのスモールステップを作成する。・・・D

・それぞれのスモールステップを確実に実行する。・・・E

およそこのような段階を踏まなければなりません。

このようなアプローチは、大人であれば慣れていることですが、中高生にはなかなかのハードルです。

とくに低学年のうちには、その取り組み方について丁寧に指示をし、生徒一人一人の学習レベルに合わせたサポートをする必要があります。

たとえば授業の中で、

・どのような成果物を目指すのか目標を立てさせる。(C)

・その目標を達成するために何をすれば良いか、複数のステップに分解する。(D)

・それぞれのステップをいつ行うのか計画表を作らせる。(E)

などを生徒一人一人に取り組ませる活動が考えられます。

 

以前はこの違いについて、あまり自覚的ではありませんでした。

課題の内容と締め切りを指示して、後は生徒にお任せ、ということもありました。

生徒の「自主性」について思い違いをしていたようです。

生徒が自主的に課題に取り組めるようになるまで、年齢や、それぞれの学習レベルに合わせてサポートを変えていくべきでした。

このサポートが足りていない場合、生徒は従来の意識で課題に臨む、AやBレベルの課題理解で止めてしまいます。課題について、それ以上考えることをしません。

それが様々な問題を生じさせるのですが、そのことについてはまたいずれ書きます。