Senobi

私立の中高一貫校で国語を教えています。国際バカロレア、子どものための哲学、ワークショップ型の授業づくりに関心があります。

高校1年生夏休みの課題

中学生の間は学年で統一した課題を夏の間に取り組ませていました(読書レポートなど)。

今年は、高校1年生として、指示されるだけの課題ではなく、夏の間にやりたいことをやったり、自分で必要だと思う勉強をしてほしいという思いから、課題内容を生徒自身に決めてもらうことにしました。

1学期の最後の方の授業で生徒に次のようなプリントを配布し、各自課題内容を考えるように指示しました。

【課題】

いまの自分にとって必要だと思う学習や、自分がやりたいと思う国語に関連する活動を行い、その成果物を作成する。

 

【方法】

事前に取り組みたいことを決め、その内容や、なぜ自分に必要なのか、どういうチャレンジになるのかを説明した文章を提出してください。

そして夏の間に実際に活動します。

活動の成果は9月最初の授業で提出してください。

各自でふりかえりと自己評価を行います。評価は2学期の平常点に含めます。

 

【活動と成果物の例】

・市販の高校生用の問題集(現代文や古典)を1冊解いて丸つけまでする。

・自分のレベルに合った漢字検定用のテキストを解いて丸つけまでする。

・新聞の社説を読んで、10日分の要約を作成する。

・小説を何冊か読み、読書記録をつける。

・探究活動のために文献調査を行い、読書記録をつける。

・長編小説を読み、読書レポートを作成する。

・映画を何作品か観て、批評を書く。

・関心のある社会問題について調べ、小論文を書く。

・オリジナルの小説や脚本を書き、プリントアウトしてまとめる。

・ストーリー性のあるマンガを作成する。

・美術館に行き、見た作品についてのレポートを作成する。

・劇を見に行ったり落語を聞きに行ったりして、観劇記録をつける。

・旅行先で撮った写真をもとに旅行記を書く。

 

 意図を説明すると、大部分の生徒はわかってくれたようで、「やってみたい」「楽しそう」という声も聞こえてきました。

次に、ルーブリックを配り、自分で決めた課題内容を報告させました。

ルーブリックはこんな感じのざっくりしたものです。

0点  学習や活動に取り組めていない。

10点  ある程度の学習や、ある程度の活動に取り組めている。

20点  自分にとって必要な学習や、自分のやりたいと思う活動に取り組めている。

30点 充実した学習や、チャレンジに満ちた活動に取り組めている。 

 

さて、夏休みが明けて、生徒のたくさんの成果物が集まってきています。

自分で問題集や漢検のテキストに取り組んだ生徒が多かったのですが、他にもいろいろな作品が提出されてきました。

・オリジナルの小説、童話

・夏休みに観た舞台の記録

・マレーシア旅行記

・アニメフェスの参加レポート

・豪雨災害ボランティアの報告

・夏休み短期留学中に書き続けた日記

などなど。

また、提出したあとも複数の生徒が「時間が足りなかった」「もっと書きたい」と言ってきました。

(とくに、ある生徒は作文に対する苦手意識が強く、授業中にこちらが出す課題にはほとんど取り組めないのですが、今回の課題は自分の趣味についてかなりの量の文章を書いてきました。こういうのなら書ける、と授業中に話しかけてくれたのが印象的でした。)

これまで国語が苦手な生徒には、解きやすい課題を出すことばかりを考えていましたが、今回のように書きたい意欲を高める課題の出し方を工夫するのも良い方法だと実感しました。

もっと書きたい、という生徒もいることですし、2学期のライティング・ワークショップにつなげていこうと思います。

 

改善点としては、最初に生徒自身が課題を設定する際に、カンファレンスなどをして時間をかけた方が良かったと思います。そうすれば、成果物のクオリティは全体としてもっと高まったかもしれません。

 

なお、今回の課題の出し方は、MYPのパーソナル・プロジェクトの手法を参考にしています。こういった課題づくりの発想は、自分ではなかなか思いつかないので、勉強になります。