【読書】『十二人の手紙』授業でどう使う
井上ひさし『十二人の手紙』を読みました。
帯に「読んでいないなんてもったいない‼」という惹句がありましたが、
ほんとその通り、面白かった。
全編手紙文だけで構成された12の短編(+1編)。
交わさせる手紙を読み進めていくうちに、物語が立ち上がってくる瞬間がぞくぞくする。
個人の手紙のやり取りだけでなく、
「出生届」や「転入届」などの届出だけで主人公の人生を描く「赤い手」、
ラスト作者の趣向に思わず声が出た「玉の輿」、
どの話も外れなしでした!
読書が苦手な生徒にもオススメできると思います。
「こころ」を読んで、初めて書簡小説に触れる、という生徒も多いと思います。
はじめにこのような作品を通して、書かれていないことを想像する面白さを味わっておくのも良さそうです。
さて、授業でこの小説を紹介するとしてちょっと心配なのは、
こういう、オチがある小説って、授業での反応が極端に分かれるんですよね。
自分でよんで、面白い!って興味を持ってくれる生徒と、
オチが分からなくて、やっぱり小説ってつまらない、っていう反応になる生徒と、
そんな反応になってしまったら「そんなんじゃないんだ!」と叫びたくなります。
(表面上は、難しかったかなーって言いながらにこにこしているけど)
かつて星新一でさえそうだったので。
さすがに星新一であれば、クラスのだいたいは理解できるので、
分からなかった生徒がいたら、周りで教えてあげて、と対話に持ち込めるのですが、
以前芥川の「妙な話」を紹介したときは、
クラスで数人しか理解できず、その後のフォローが大変でした。
(人物相関図を描いて説明したり、場面ごとに解説したり…)
本当は、自力でよんで「おおっ!」って思ってほしいのに、
こっちがオチを丁寧に説明するほど無粋なことはないですね。。
クラスの読解力を見誤ると悲惨なことになります。
創作活動として、この本を紹介した後、
架空の手紙を書くとか、LINEのやりとりだけで物語を書くとか、そういうワークショップをしてみるのも楽しいかもしれません。