P4C(子どものための哲学)で学校はどう変わるか
先日、P4C(子どものための哲学)に関するオンラインイベントに参加しました。
ハワイの学校でP4Cの研究をされてきた先生による、研究報告会です。
なぜハワイ?と思れたかもしれませんが、ハワイでは以前からP4Cの実践が盛んにおこなわれています。
そして、日本での哲学対話の実践はハワイの実践の影響を大きく受けており(授業の流れや、コミュニティーボールを使うことなど)、交流も盛んなのだそうです。
報告会では、学校全体でP4Cに取り組んでいる小学校や高校の例が紹介されました。
授業の様子や、放課後の自主活動、生徒同士の交流など、学ぶところが多かったです。
異学年の交流などは、うちの学校でもやってみたいと思いました。
例えば、哲学対話にある程度慣れた上級生と下級生を混ぜたグループを作り、上級生が下級生をリードして活動を進めていく。
また、生徒の自主的な活動として哲学対話イベントを企画したり、次にどのような授業をするか教師と相談したりする生徒もいるそうです。
彼らは、哲学の波に乗る〝philoSURFER〟と呼ばれていました。
話の中で、P4Cををやることで学校はどう変わるか、という話題が出ました。
そして、その一つの答えが「先生のありようが変わる」というものでした。
これはすごく分かる気がします。
私自身、前任校、そして今勤めている学校(系列校です)でP4Cに取り組んできて、学校内でのふるまい、生徒への声がけ、授業のあり方など、ずいぶん変わったなと、振り返ってみて感じます。
一つ例を挙げると「聞き方」です。
以前までは、自分が何かを教えないと、ということであったり、問題行動のあった生徒に対しては何とかして諭さないと、という意識が先行していました。
結果、生徒の気持ちを置き去りにしているケースも多々あったと思います。
P4Cを学ぶようになってからは、その最初のところで「まずは生徒の話を聞こう」というところに意識が向くようになりました。
その結果、怒鳴ったり、一方的に怒ることもなくなったと思います(というより、最初に話を聞くと、その後で怒ったり、一方的に怒ることはできません)。
ちなみに、これは授業のやり方にも影響し、それまでの教師主導の授業スタイルから、大きく転換することにつながりました。
その後、IB(国際バカロレア)のカリキュラムで教えることになるのですが、最初のマインドセットは、P4Cを経験していたおかげで、スムーズでした。
良いことばかり書くとなんだか嘘くさく感じるかもしれませんが…私としてはP4Cに取り組んできてよかったなぁと思います。
同じように、P4Cをやることで先生のありようが変わり、先生と生徒の関係性が変わったり、先生と保護者の関係性が変わったりすることで、学校に良い変化が起きるといいなと思っています。
報告会で紹介された高校のP4Cの取り組みは、教育実習生2人から始まり、それが徐々に広まっていったそうです。
私の学校でも、生徒主体の哲学対話サークルや、文化祭での企画、保護者主催の哲学対話イベントなど(今日もそれの打ち合わせでした)、様々な派生形が生まれています。
自分が学生のとき、また勤め始めたときには、このような活動があるとは想像もしませんでした。
最初に哲学対話に出会ったときも(もう9年も前です)このような広がりが生まれるとは思いもよりませんでした。
報告会では、オンラインで100人以上の哲学対話に関心をもつ人が集まっていました。
こんなふうに少しずつ浸透し、広まっていくんだなと、今後が楽しみになりました。
発表された先生が、ハワイのP4Cの先駆け、Dr.Jの言葉を紹介していました。
その一つが、”Not in a rush.” 焦らないこと。
哲学対話で考えるときのように、ゆっくり、じっくり取り組んでいきたいと思います。